白倉伸一郎氏、井上伸一郎氏

『仮面ライダー』の生みの親・石ノ森章太郎が命を吹き込んだもうひとりのヒーロー『キカイダー』が40年の時空を超え、劇場長編『キカイダー REBOOT』としてスクリーンによみがえる。

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プロジェクトを仕掛けるのは、アニメ雑誌『月刊ニュータイプ』の元編集長で、現在はKADOKAWA代表取締役専務を務める井上伸一郎氏。そして、東映テレビ・プロダクション代表取締役社長で、東映の屋台骨である『仮面ライダー』を手掛ける白倉伸一郎氏だ。アニメと特撮という両分野のトップランナーである“W伸一郎”が、21世紀にキカイダーを再起動させた”使命”と”必然”を熱く語る。

「生前の石ノノ森先生が『もう一度、人造人間キカイダーを実写化したい』とおっしゃっていた。その数か月後に先生が亡くなられ、自分の中には“遺言”として残っていたんです。本来なら40周年にあたる2012年に公開したかったが、シナリオ作りに時間がかかった」と井上氏。

アウトプットが多様化する現代、あえて長編映画の劇場公開を選んだ理由を、白倉氏は「仮面ライダー、スーパー戦隊に続く第3の軸を模索するなかで、映画発信のキャラクターを開発したいという思いがあった」。平成ライダーの新たな価値観を生み出した功労者の白倉氏だけに「もっと普遍性がある物語にしようと、一風変わった光明寺家の小さな物語からの脱却を延々と繰り返した」という。

「それでも普遍性を掘り下げれば、掘り下げるほど、結果的にキカイダーと彼を取り巻く光明寺家の“家族再生”の物語にたどり着いた。それこそが本質だったんです」(白倉氏)。

一方、井上氏は「キカイダーの根底にあるのは、不安定な思春期の少年性。キカイダーに装備された良心回路はその象徴なんです。今、映画人口が減っている要因のひとつは、10代の男の子が熱くなれる実写映画がないこと。映画人として、一種の使命感もある」と語る。また、現在のロボット工学やAI(人工知能)の著しい進歩もキカイダーの世界観に説得力を与えているといい「今やらないと、時代に追いつかれてしまう」(井上氏)とその必然性を語った。

『キカイダー REBOOT』
5月24日(土)全国ロードショー

取材・文・写真:内田 涼

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