【漫画】実はあの漫画家は女性だった!

2012.1.13 6:00

荒川弘、尼子騒兵衛、久保ミツロウ……。男性風のペンネームですが実は3人とも女性です。そんな漫画家たちを紹介。

「まこと」と名前を聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、男性ではないでしょうか。それでも漢字で「真琴」と書いてあるのを見れば、『ああ、女性か』と思うでしょう。その一方で「優」の名前を見ると『女性かな?』と思うかもしれませんが、そこに「まさる」とふりがながあれば、『男性だ』と思うはずです。漢字だけ読みだけでは、性別が分かりにくい場合もあるのも、文字の面白いところです。

多くの漫画家がペンネームを使っています。本名を少し変えたものあれば、全く異なったペンネームを使っている人もいれば、作品や掲載誌によって、ペンネームを使い分けている漫画家もいます。最初に書いたように、誌面の文字ヅラによるところが大きく、その性別がはっきりしない場合があります。青年誌や少年誌に描いている女性漫画家も少なくないのですが、ペンネームが男性のような場合も珍しくありません。そのためサイン会などで実際に見かけたファンから「○○先生は女性だった」となることが多いようです。そこで男性風のペンネームで活躍する女性漫画家を紹介したいと思います。


まずはスクウェア・エニックス社「月刊少年ガンガン」で連載されていた『鋼の錬金術師』が大ヒットした荒川弘さんです。錬金術師である兄のエドワードと弟のアルフォンスが賢者の石をめぐる旅をえがいた『鋼の錬金術師』は、コミックス27巻、合計で約5,700万部を売り上げ、第49回小学館漫画賞や第15回手塚治虫文化賞新生賞を受賞、アニメ、ゲーム、ノベライズ小説などで多メディア化されています。漫画の内容や「荒川弘(あらかわ ひろむ)」のペンネームもあってか、やはり多くの読者に男性と思われていたようです。

作者の描いた自画像では、牛(ホルスタイン種?)になっています。服を着たり着なかったり、眼鏡をかけたりかけなかったりと、状況によって多少の違いはあるのですが、この自画像を見ても、なかなか女性とは想像しづらいのではないでしょうか。牛になぞらえてあるのは、北海道出身の作者の実家が酪農を営み牛に親しんでいたことと、丑年生まれ、かつ牡牛座の誕生日であることに由来するそうです。そんな体験を生かしては、現在は小学館「週刊少年サンデー」で、農業高校を舞台にした『銀の匙 Silver Spoon』を連載中です。農業や酪農に縁のない主人公、八軒勇吾は、牛・馬・豚、そしてクラスメイトに翻弄される毎日でしたが、彼の頑張りや生真面目な考えは徐々に周囲にも影響を与えつつあります。これからが楽しみな連載漫画のひとつです。

次は「朝日小学生新聞」で『落第忍者乱太郎』を連載中の尼子騒兵衛さんです。何と言っても「騒兵衛」の名前にはインパクトがあります。漫画もコミカルなものですし、男性漫画家と思うのも無理はありません。コミックスなどに時折長髪の自画像も描かれているのですが、今時、長髪の男性も珍しくありませんし、男性と思い込んでいる人が、講演やサイン会などで作者を見て驚かれることも多いそうです。ペンネームの由来は、作者が兵庫県尼崎市出身であることと、いろいろ「騒々しい」ことから適当に決めたのだそうです。そうした理由を聞くと、名前だけで判断するのはもう不可能なんだろうなと思わされます。

忍者の卵である乱太郎達が活躍する『落第忍者乱太郎』はコミックス50巻を発行し、アニメ、ゲーム、ミュージカルなどにも展開しています。コロコロとした少年忍者が活躍する絵柄からは、先の荒川弘さん以上に、とても女性が描いているとは想像しづらいです。近いところで言えば、やなせたかしさんの『アンパンマン』くらいでしょうか。もちろんやなせたかしさんは男性ですので、お間違えなきようよろしくお願いします。

   
3人目はテレビ東京のドラマこそ視聴率は伸びませんでしたが、講談社の「イブニング」で『モテキ』を連載されていた久保ミツロウさんです。久保さんはデビュー作やその後の短期連載は女性誌で、ペンネームは本名そのままに久保美津子でした。ですが講談社の「週刊少年マガジン」で『3.3.7ビョーシ!!』を連載するにあたって、ペンネームを久保ミツロウとしています。また自画像は髭を蓄えて眼鏡をかけた男性に描かれていました。さすがにこれでは男性と勘違いされるのも無理ないなと思います。その後、帽子を被ってもうちょっとすっきりした自画像も発表されていますが、それでも一見すると男性に思う人が多いのではないでしょうか。

 

 

トッキュー!!』や『モテキ』と、少年誌や青年誌での活躍が続くのですが、絵柄自体は女性誌に掲載されても不思議ではないと思います。ただ主人公がホストや海上保安官だったり、何人もの女性に囲まれるなどの展開は、男性漫画家を思わせるものがあります。また繰り返しになりますが、髭もじゃの自画像が、決め手になっていたのかもしれません。『モテキ』がドラマや映画になったこのをきっかけに、久保ミツロウさんも何かと表に出てくることが増えました。女性との認知度も上がってきましたし、それを踏まえての活躍も期待できそうです。


今回は3人の女性漫画家を紹介しましたが、男性と思われている女性漫画家は他にもたくさんいます。また反対に『女性かも』と思われている男性漫画家も少なからず活躍しています。折りを見て、その作品と共に紹介していきたいと思います。 

あがた・せい 約10年の証券会社勤務を経て、フリーライターへ転身。金融・投資関連からエンタメ・サブカルチャーと様々に活動している。漫画は少年誌、青年誌を中心に幅広く読む中で、4コマ誌に大きく興味あり。大作や名作のみならず、機会があれば迷作・珍作も紹介していきたい。

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