中山氏が語る成功への秘訣

「代表候補という人数から見れば、ものすごく多い選手たちの中から、今回の23人は選出されているというのを感じます。僕が岡田さんに選んでいただいた1998年W杯のときは、多くても30人くらいで、その中から誰を選ぶかだった。それを考えると、今はいろいろな選手が出てきたと思いますね」

そして中山氏は、2度のW杯での経験から、チームのまとまりこそが成功への秘訣だと話す。

 

「チームが戦おうとするとき、全体がどれだけまとまっているかだと思うんです。

そこには先発ではない、控えメンバーからの突き上げが必要。それがあればチーム自体が盛り上がる。試合に出ている選手はやって当たり前。彼らは試合に向けて調整していけばいい。

精神的にも肉体的にも難しいのはサブのメンバー。そうした状況の中でも彼らがモチベーションを高く保ち、チームのために何ができるかを自覚して行動に移せるかどうかが大事だと、経験から思いましたね。僕も1998年のときは試合に出ていましたけど、2002年のときはそういう役割も兼ねて呼ばれたと思っていましたから」

大久保選手は決してサプライズではない

また、ストライカーとしてプレーしてきた中山氏は、元FWらしく、今回、サプライズ選出と言われているストライカーの大久保嘉人にエールを送った。

 

「大久保(嘉人)がサプライズと言われていますが、決してサプライズではない。

あれだけJリーグで結果を出していますからね。ただ、これから彼への期待が膨らんでいく中で、どういうプレーをしてくれるのかは楽しみ。

あとは、自分を成長させるために海外に行く選手が増えた中で、彼はJリーグでプレーしている。だからこそ、彼にはJリーグでも十分できるんだぞという部分を見せてほしいですね」

岡田氏は、ザッケローニ監督との約束を明かしてくれた。

 

「日本代表は結果を残していかなければいけない。だから、ぜひベスト8、ベスト4と、一つでも上を目指してほしい。ザックにはそこまで到達したときにはイタリアワインで乾杯しようって約束しているんです。もう、そのワインは準備してあるので、大会後に乾杯できたらいいなって思っているんですよね」

岡田氏も中山氏も今大会に臨む日本代表には期待していいと太鼓判を押す。初戦のコートジボワール戦まで1カ月を切った。あとは選ばれた23人がチームとしてまとまり、迷いなく戦うだけだ。

1977年生まれ、東京都出身。テレビ雑誌勤務を経て、サッカー専門誌へ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。サッカー専門の編集プロダクション(株)SCエディトリアルを立ち上げ、代表を務める。海外、国内を含め取材を行い、執筆から編集、雑誌のプロデュースまで幅広く行っている。『ブラジルワールドカップ観戦ガイド完全版』『女子的ブラジルワールドカップ観戦ガイド完全版』(ともにTAC出版)を監修。