オダギリジョー

俳優のオダギリジョーが「ゴリラが代打の切り札として大活躍する」という奇想天外な野球コメディ『ミスターGO!』に出演。打率9割9分9厘を誇るスラッガー“ミスターGO”を獲得しようと物語の舞台・韓国に渡る中日ドラゴンズオーナーのイトウを演じている。オダギリが本作への出演を決めた理由とは? 「昔は出演作をかなり厳しく決めていた。でも、最近はいい意味で“強いこだわり”が消えてきましたね」。そう語るオダギリの姿勢には、俳優業への意識の変化が垣間見える。

その他の写真

万年最下位の球団が起死回生のため、サーカスからスカウトした打率9割9分9厘の天才打者ゴリラ“ミスターGO”が活躍する本作。メガホンを執るキム・ヨンファ監督からのオファーを受けて「確かにゴリラが野球って…というのが第一印象でしたが、そんな企画を莫大な製作費と最新のCG技術を投じて、映画にしようとする挑戦は面白いなと思いました。お祭りに参加した感覚」だという。

オダギリ演じるイトウは、交渉上手で食えない男という設定。おかっぱ頭に赤い縁のメガネと、見た目にもユーモラスだ。「コメディですからね。リアルを追及するのも変だし、僕のほうから監督にいろんな提案をしました。30年間、同じ美容室で髪を切っているというセリフも撮影当日、現場で思いついたもの」と役作りを楽しんだ。

「以前は自分を客観視して『オダギリジョーには、こんな作品に出てほしい』と思える作品にしか興味がなかった。でも、今大切にしているのは“人とのつながり”なんです」と語るオダギリ。近年では、キム・ギドク監督の『悲夢〈ヒム〉』、チャン・ドンゴンと共演した『マイウェイ 12,000キロの真実』など海外作品にも積極的に参加しており「日本の現場はあらゆる面で恵まれていて、逆に物足りなさを感じることも。海外では予想もつかないトラブルがしょっちゅう起こるけど、それが刺激になる部分もある」という。

現在は連続ドラマに3本出演し、中島哲也監督と初タッグを組んだ『渇き。』の公開を控える。今後も“強いこだわり”から解放されたオダギリの、未知なる境地に期待したい。

『ミスターGO!』
5月24日(土)全国ロードショー

取材・文・写真:内田 涼