沢口靖子、三宅裕司  撮影:源 賀津己 沢口靖子、三宅裕司  撮影:源 賀津己

東京の喜劇“軽演劇”を追求すべく、座長の三宅裕司を中心に渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之ら一線級の喜劇人たちが集う熱海五郎一座。2004年に旗揚げされた伊東四朗一座が発端だが、座長の伊東が参加できない際は“伊東ならぬ熱海、四朗ならぬ五郎”ということで、三宅座長の熱海五郎一座となる。以来、延べ15万人以上を動員してきた人気一座が結成10年を経て、新橋演舞場に進出。毎回豪華な女性ゲストが華を添えるが、この記念すべき公演「天然女房のスパイ大作戦」では“超・真面目天然美女”の沢口靖子と元宝塚トップスターの朝海ひかるをゲストに迎える。そこで今回は座長の三宅と、ヒロインの沢口に話を聞いた。

熱海五郎一座 チケット情報

ふたりはコントライブ「いい加減にしてみました3」(2010年)で顔合わせ済み。伊東と三宅の舞台に、沢口がゲスト出演した。

「僕は沢口さんの『金鳥』のCMが大好きで。あのバカバカしさ(笑)、真剣にやっている面白さというのが絶対に必要で、沢口さんはそれがイヤミのない面白さとして出てくる人ですね」(三宅)

「コントライブのときは、笑わせているというよりは私自身が笑われているというような感覚があって、お客様の反応と自分の芝居がマッチしていないように感じていたんです。それが上手く融合できたと思えたのが、千秋楽でした(笑)」(沢口)

「そのズレが面白いのに! なんで気づいてしまったかな~(笑)」(三宅)

今回、三宅と沢口は夫婦役。台本はあて書きで、沢口の“天然”っぷりありきのコメディだ。堅物な夫のカバンから浮気の証拠をつかんだ主婦が、探偵を雇って調査を開始。やがて周囲の人々を巻き込む大騒動に発展する! 相当人騒がせな妻のようだが、沢口が妻というのは役得のはず。三宅にそう振ってみると、意外にもキッパリと否定!?

「この一座でこの方のボケを全部拾ってツッコむっていうのは大変なんです! それぐらい連続でボケまくりますから。加えて、ほかのメンバーもリーダー(渡辺)、小倉、昇太と、ボケの方が多いんですから!」(三宅)

対して沢口は、「三宅さんはどんなことがあっても受け止めてくださるので、私の方は安心して飛び込みたいと思います」とニッコリ。

「前回のコントライブで、三宅さんがずっと取り組んでいらっしゃる軽演劇というものを知ることになりました。私自身は関西の笑いで育ちましたが、人間を温かく見つめる視線から生まれる笑いというのがとても好きです」(沢口)

花道や宙乗りなど演舞場特有の機構をフル活用し、「大きな機構でセコいギャグを」とも意気込む三宅。由緒ある劇場が、“天然”パワーと笑いに包まれる!

公演は6月5日(木)から29日(日)まで東京・新橋演舞場にて。チケット発売中。

取材・文:武田吏都