つながる家電の時代はすぐそこに――9月開催の家電見本市の見どころが明らか 、IFA2014事前説明会

2014.5.29 15:2配信
会場の「レグナム・カーヤ ゴルフ&スパリゾート」

2014年の9月5日から10日にかけて、ドイツ・ベルリンの見本市会場メッセ・ベルリンで開催される世界最大規模の家電見本市、IFA2014。その見どころや今年のポイントなどを発表するGPC(Global Press Conference)が、4月23~26日の4日間、トルコ・アンタルヤ地方にあるベレクのリゾートホテル、レグナム・カーヤ ゴルフ&スパリゾートで開催された。約50か国から300人以上のジャーナリストが出席した。ベレクは、ボスポラス海峡を隔てて東に位置する地中海に面した「アジア側」に位置する街。GPCはこれまでヨーロッパ圏で開催されてきたが、8回目の今回、初めてアジア圏で開催されることになった。

●テレビのビッグメーカー、トルコのVESTELやTCL集団も登場

IFAに出展する主要メーカーが今年の見どころや最近の製品動向を発表する「パワーブリーフィング」では、6社がプレゼンテーションを行った。最初に登場したのはグルンディッヒ。日本では耳慣れない会社だが、1946年にラジオ販売から始めたドイツの老舗家電メーカーだ。現在はトルコのコチ財閥の傘下に入り、欧州各国やブラジル、オーストラリア、中国で製品を展開している。AV系の製品に加え、2013年に冷蔵庫などの白物家電にも参入し、総合家電メーカーとしてのポジションを固めつつある。IFA2014では、「FINE ARTS」シリーズをはじめとする4Kテレビのラインアップや「スマートオーディオ製品」を出展する予定だ。

続いて登壇したのは、ボッシュやシーメンスなどのブランドを擁するBSHのClaudia Happ氏。今後、多くの家電製品が相互に接続されるようになり、モバイルデバイスが「日常生活の管理センター」になるという新しいプラットフォーム「Home connect」構想を説明した。家電製品とサービスがインターネットを介して接続されることで、遠隔操作だけでなく、新たなサービスを受けられるようになる。異なるメーカーの製品でも一つの端末でコントロールでき、さらに異なる種類の製品を同様のインターフェースで操作できるような、Wi-Fiネットワークを使いながらも簡単に相互接続ができる環境を目指す。9月のIFA 2014までにはiOS版のアプリを、また15年にはAndroid版をリリースし、グローバルでの展開を予定している。

三番目に登壇したのは、VESTELのCEO、Turan Erdogan氏。これも日本にはあまりなじみのない会社だが、トルコ有数の企業集団ゾルルグループ傘下の総合家電メーカーだ。とくに欧州各国で、複数のブランドで展開しながら、OEM(相手先ブランド供給)やODM(相手先ブランド設計・製造)メーカーとしても大きなシェアを誇る。手がける製品を合算すると、欧州でのテレビのシェアは20.3%と、サムスンの32.1%に次ぐ2位のポジションになる。さらに、アメリカ、中東、アフリカなどの145か国に製品を輸出し、日本企業との取引も幅広い。IFAの常連出展企業の一つであり、昨年は3000m2もの広大なエリアで製品を展開した。今回、GPCをトルコで開催するよう強く推薦したのも、実はErdogan氏だという。

VESTELの特徴は、各国のブランドを買収して製品展開を進めていることにある。このためVestelブランドはそれほど知名度は高くないが、欧州では知る人ぞ知る存在だ。今年のIFAでは、4Kテレビやスマートテレビ、専用メガネをかけることで1画面で2種類のコンテンツを同時に楽しめる「Dual View」テクノロジー搭載製品、家電全般をスマートフォンでコントロールする「スマートホーム」製品などを出展する予定だ。

フィリップスブランドのテレビを展開しているオランダのTP Visionからは、CCO(Chief Commercial Officer)のNico Vernieuwe氏が登壇。いかにも欧州らしい雰囲気をもつ背面が光るアンビライトの液晶テレビ「新8000シリーズ」を紹介した。OSにAndroidを採用したのが最大の特徴で、より自分好みのテレビとして楽しむことができるようになるという。テレビで直接ゲームアプリが楽しめるようになるほか、音声やジェスチャーでのコントロールや複数の部屋で同じコンテンツを楽しめる機能などを搭載。またアンビライトの機能を使って、例えばサッカーの試合でひいきのチームが勝った際、光で祝福するモードを備えたアプリなどの提供も予定している。新シリーズは、フルHDと4Kの両方で展開する。また、フィリップスの子会社、WOOX InnovationsのCEO、Wiebo Vaartjes氏が、同社の概要を紹介しながら、新たに参入したDJ向けヘッドホンを紹介した。

今年、テレビの世界シェア3位に躍り出た中国の家電大手、TCL集団からは、ヨーロッパマーケティングディレクター、Antoine Salome氏が登壇し、プレゼンテーションを行った。IFA 2013では、大手テレビメーカーがこぞって「世界最大の110型4Kテレビ」を出展していたなかで、同社も大きなスペースを割いて大きさと美しさをアピールしていたが、今年はそれを曲面にした最新版の発表を予定している。TCL集団は欧州の4Kテレビ市場でもトップ3に入ることを目指しているが、それを後押しするのが2009年にパネル子会社のChina Star Optoelectronics Technologyだ。第8.5世代マザーガラスを月に13万枚製造する生産能力をもち、28型から110型まで、幅広いサイズのパネル生産に対応する。一般向けの「THOMSON」ブランドから2014年にリリースする製品は、は4Kテレビが3モデル6製品、スマートテレビが17モデル33製品、湾曲テレビが1モデルなど。一方、35歳までの若い層に向けた「TCL」ブランドでは、4Kテレビを1モデル2製品、110型など超大型のジャンボ4Kテレビを2モデル、スマートテレビを3モデル6製品、ベゼルの色がカラフルなカラーラインを2モデル25製品と、全体で数多くの製品リリースを予定している。特に4Kでは、大型製品とともに40型の小型製品をリリース。価格を抑えることで、欧州市場でのシェア拡大を狙う。

●テーマは「未来のオフィシャルパートナー」、新ホール完成で進化するIFA2014

GPC3日目には、IFAを主催するメッセベルリンのCEO、Christian Goeke氏がプレゼンテーションを行った。Goeke氏は、「IFAは完全なグローバルイベントに成長した」と述べ、世界各国からのジャーナリストの訪問数増を強調。01年は1000名だったものが13年は2360名と来訪者が倍増し、世界中から注目されるイベントに成長したとした。また、商談での来訪者も、13年は日本からは前年比38%増、中国・香港からは52%増と、特にアジア圏からの来訪が増加し、総来場者数は約24万人を数えたと報告した。IFA2014の大きな変化は会場の増設だ。2階建ての新ホール、CityCubeが完成、合計で1万2000m2のエリアが加わる。1階の新展示エリアには、サムスンの出展が出展。2階のスペースは、キーノートスピーチやカンファレンス用の会場として使われる予定だ。

メッセベルリンのIFAグローバル統轄本部長、Jens Heithecker氏は、日本人記者団のインタビューに答えて、「例えば、これまでサムスンはシロモノ家電とクロモノ家電を別々のホールで展示していたが、今年から同一会場で展示できるようになった」と話し、「より見やすい展示になっている」とした。これまでサムスンが使用していたホール20には、たっての希望でソニーが移動することが決まったという。またCityCubeでは、「IFA+ Summit」と題した新しいかたちのキーノートスピーチやプレスカンファレンスを開催する予定だ。Heithecker氏は、最後にIFA2014のテーマを紹介。昨年からの「Smart IFA」を継続しながらも、2014では新たに「Official Partner of The Future(未来の公式パートナー)」を掲げ、より未来を見通すことができるイベントを目指すと述べた。

今年のGPCでは、目新しい提案こそあまりみられなかったが、いずれのプレゼンテーションでも、機器同士が相互につながる姿に言及していたのが印象的だった。9月に開催されるIFA2014では、こうした目前に迫っている“すぐそこにある未来”の姿を、より鮮明に見ることができそうだ。(道越一郎)

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