二階堂ふみ

映画『私の男』の完成披露試写会が2日に都内で開催。主演の浅野忠信、二階堂ふみに共演の高良健吾、藤竜也、熊切和嘉監督が上映前の舞台あいさつに登壇した。

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桜庭一樹の直木賞受賞の同名小説を映画化。災害で家族を失った少女・花と彼女を引き取った遠縁の親戚・淳悟が互いを求め合い、禁断の愛を育んでいくさまを濃密に描き出していく。

原作発売当初から、幾度となく映像化権が映画関係者の間でやりとりされながらも実現しなかったのは、流氷でのシーンが必要不可欠であるためと言われてきたが、今回、ギリギリのスケジュールの中で、撮影が行われた北海道の紋別に流氷が漂着した。流氷の上で芝居をし、さらにはその極寒の海に飛び込むシーンまで自ら体を張って行なった二階堂は「本物だからこそ出せる臨場感、空気があったと思う」と充実した表情で撮影を振り返る。同じくこのシーンに参加した藤は、自らの役を「ジジイの役(笑)」と語り、「(流氷の上は)危険ですよね。穴があちこちにあるし。二階堂さんは若いからピョンピョン跳ねてましたが、僕はひざのコンドロイチンが流れ出してギクシャクして来るんですよ」と苦笑交じりに過酷な撮影について語った。

寒さという点では、屋内ながらも壁をぶち破って撮影した、花と淳悟のふたりの水を使用して撮影されたあるシーンも相当の極寒だったという。浅野は「ひとつのキーになるシーンだと思ってましたし、ふたりの時間を表現したくて集中していましたが、始まってみたら想像以上にリズムが合っていて、ふみちゃんに助けられました」とおよそ20歳年下の二階堂を称賛。熊切監督も「匂い立つようなシーンにしなくてはと思っていた」と明かし、「撮りながら興奮しました」と手応えを口にした。

高良は、東京で花や淳悟と知り合う青年を演じたが、「撮影は4日間だけでしたが、もっと長く感じるような濃厚な4日でした」と述懐。これまでも熊切作品を観ていたそうで「自分から『行きたい』と感じる現場で、監督から湯気が立っているようで『カッコいいな』と思いました」と語っていた。

『私の男』
6月14日(土) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー