人型ロボット「Pepper」

ソフトバンクモバイル(孫正義社長兼CEO)と、フランスのALDEBARAN Robotics(アルデバラン、ブルーノ・メゾニエCEO)は、6月5日、さまざまな技術や機能を搭載した世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper」を共同で開発し、2015年2月に発売すると発表した。

「Pepper」は、周囲の状況を把握して自律的に判断して行動する独自のアルゴリズム(計算方法)、表情と声から人の感情を推定する感情認識機能を搭載し、独自開発の関節技術によって、自由度の高いスムーズな動きを実現した。こうした人とのコミュニケーションに特化した機能とインターフェースによって、親しい友人や家族と接するように、自然なコミュニケーションを楽しめる。

さらに、吉本興業グループのよしもとロボット研究所の協力によって、お笑いやダンスなど、多彩なエンタテインメントで人々を楽しませる機能を盛り込む。今後の一般販売に向けて、人との日々のコミュニケーションを通じて学習し、成長していく機能も実装する予定。

また、世界中の開発者がつくったさまざまな「ロボアプリ」をダウンロードして、「Pepper」の機能を拡張できる仕組みを提供する。開発者向けには「ロボアプリ」を開発するためのソフトウエア開発キット(SDK)を提供する予定で、2014年9月には、技術仕様や開発方法の詳細などを公開するテックフェスティバルを東京で開催する。

「Pepper」の価格は税別19万8000円で、別途オプションサービスを用意する。サイズは、高さ1210×奥行き425×幅485mmで、重さは28kg。電源はリチウムイオンバッテリで、約12時間以上稼動する(ショップでの利用を想定)。移動可能段差は最大1.5cm、移動速度は最大3km/h。通信方式は、IEEE 802.11 a/b/g/n(2.4GHz/5GHz)の無線LAN(Wi-Fi)と有線LAN(10/100/1000 base T)。

ソフトバンクグループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を掲げ、2010年に発表した「新30年ビジョン」では、今後人々の生活を豊かにするためにロボットが重要になると考え、将来はロボットと共存する社会を実現したいと表明した。

アルデバランは、人型ロボット工学の世界的な先駆者で、自律型ロボットの設計・生産・販売を行っている。フランス、中国、日本、アメリカにオフィスをもち、製品として発表した最初のロボット「Nao」は、70か国の教育機関や研究機関で5000台以上が活用されているという。12年にソフトバンクが出資し、ソフトバンクグループの一員となった。なお、感情技術関連の研究・開発に特化する会社として、6月5日付で、ソフトバンク100%子会社のcocoro SB(ココロエスビー)を設立した。

ソフトバンクモバイルは、一般発売に先駆けて、6月6日から「ソフトバンク表参道」と「ソフトバンク銀座」に、ソフトバンククルーとして「Pepper」を設置する。来店者は、ソフトバンククルーとして特別な訓練を受けた「Pepper」とのコミュニケーションを楽しむことができる。「Pepper」は、旗艦店の2店舗を皮切りに、量販店・併売店を除く全国のソフトバンクショップに順次展開していく。