ドコモの「Xperia Z2 SO-03F」

ソニーモバイルコミュニケーション(ソニーモバイル)が全世界で展開する「Xperia」の最新モデル、「Xperia Z2 SO-03F」「Xperia ZL2 SOL25」が、5月21、23日に相次いで発売になった。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、従来型携帯電話を含めた携帯電話全体のランキングで、ドコモの「Xperia Z2 SO-03F」は、発売以来、2週連続で機種別1位を獲得。KDDI(au)の「Xperia ZL2 SOL25」も、auに限れば上位に食い込んでいる。カメラやオーディオが充実した新「Xperia」は、初めてスマートフォンを使う初心者はもちろん、性能や通信速度の向上を求めて、スマートフォンからスマートフォンへの買替えユーザーも満足できる仕上がりだ。

●「Xperia Z2」が1位発進 発売1週目は3キャリアの「iPhone 5s」を抜く

複数のメーカーが手がけるAndroid搭載のスマートフォンは、メーカーが各キャリアに対して、同一または異なる機種を供給するかたちを採っている。ドコモの「Xperia Z2 SO-03F」とauの「Xperia ZL2 SOL25」は、画面サイズやバッテリ容量、デザインなどが異なる兄弟機だ。

「BCNランキング」の週次データによると、「Xperia Z2 SO-03F」「Xperia ZL2 SOL25」の発売日を含む5月第3週(2014年5月19~25日)、ドコモの「Xperia Z2 SO-03F」は、キャリアごとに容量を合算した3キャリア(ソフトバンクモバイル、au、ドコモ)の「iPhone 5s」を抑え、トップに立った。販売台数シェアは、従来型を含む携帯電話全体で12.7%、スマートフォンに限ると15.7%。翌5月第4週(5月26日~6月1日)も、シェア6.6%で2位につけた。1位のドコモ「iPhone 5s」とは0.4ポイント差で、わずかに届かなかった。販売台数は、5月第4週より第3週のほうが多く、発売日や発売直後の週末に多くの人が買い求めた。

キャリア・容量ごとに別々にカウントする機種別では、ドコモの「Xperia Z2 SO-03F」は5月第3週、第4週とも2位以下を大きく引き離して1位を獲得。発売から7日間の累計販売台数は、2013年10月発売の前機種「Xperia Z1 SO-01F」と同程度で、MNP向け高額キャッシュバックの終了や消費税増税の影響はほとんど受けていないようだ。外部要因に左右されない端末自体やブランドに対する人気の高さがうかがえる。

auの「Xperia ZL2 SOL25」は、5月第3週ではシェア3.1%で8位、第4週は2.3%で13位に入った。auに限ると、それぞれ2位、5位につけ、販売中の2014年夏モデルのなかではトップだった。前評判通りの滑り出しだ。

この2機種に加えて、ドコモの「Xperia Z1 f SO-02F」などの旧機種も売れたことから、5月第3週はソニーモバイルが大躍進。スマートフォンのメーカー別販売台数でシェア28.4%を占め、1位のアップル(28.6%)にわずか0.2ポイント差にまで迫った。新製品を発売した1週限りとはいえ、アップルに並んだことは、このところ国内ではiPhone一辺倒だったスマートフォンのトレンドに、変化が生じる兆しといえるだろう。

●新Xperiaの魅力は?――約2070万画素のカメラ・オーディオ・高速通信

兄弟機といえるドコモの「Xperia Z2 SO-03F」とauの「Xperia ZL2 SOL25」の共通の特徴は、フルHDを超える4K映像が撮影できる有効約2070万画素の高画質カメラとオーディオ性能。高音質のハイレゾ音源のUSBデジタル出力にも対応し、音の迫力をダイレクトに体感できるフロントステレオスピーカーや、別売のノイズキャンセリングヘッドフォンを接続すると周囲の雑音を約98%遮断する「デジタルノイズキャンセリング機能」を搭載するなど、音にこだわった。

画面サイズは「Xperia Z2 SO-03F」は約5.2インチ、「Xperia ZL2 SOL25」は約5.0インチ。どちらもソニーの液晶テレビ「ブラビア」で培った映像技術と画作りのノウハウを凝縮したフルHDの「トリルミナス ディスプレイ for mobile」を搭載し、幅広い色域で色彩豊かに表示する。

また、iPhoneにはないIPX5/8の防水・IP5Xの防塵性能を備え、本体デザインを損なわない「キャップレス防水」仕様。おサイフケータイなどの定番機能や、フルセグ(地上デジタル放送)/ワンセグなども搭載し、前機種「Xperia Z1」から、さらに進化したハイエンドモデルだ。

キャリアによる違いとして、ドコモの「Xperia Z2 SO-03F」は、LTEサービス「Xi」の受信最大150Mbpsと、6月下旬開始予定の「VoLTE(ボルテ)」による通話サービスに対応する。このVoLTEによる音声通話サービスは、6月下旬以降、順次対応予定のソフトウェアアップデートの適用が必要になる。

一方、auの「Xperia ZL2 SOL25」は、LTE-Advancedの技術を応用した「キャリアアグリゲーション(CA)」による受信最大150Mbpsの「4G LTE」に加え、UQコミュニケーションズが提供する受信最大110Mbpsの高速データ通信サービス「WiMAX 2+」の二つのネットワークに対応。指定のプランを契約すれば、追加料金なしで高速の「WiMAX 2+」を利用できる。

ドコモは、6月中旬に約4.3インチのHD液晶ディスプレイを搭載したコンパクトモデル「Xperia A2 SO-04F」も発売する予定だ。これで、新「Xperia」は合わせて3機種となる。スマートフォンが本格的に普及しはじめてから3年以上がたち、スマートフォンからスマートフォンへの買替えも増えてきた。昨年に続いて、今夏も、Android搭載スマートフォンはソニーモバイルの「Xperia」の一人勝ちになりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)

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