川平慈英とシルビア・グラブ  撮影:源 賀津己 川平慈英とシルビア・グラブ  撮影:源 賀津己

PARCO劇場が誇る伝説のミュージック・ステージ『ショーガール』がこの夏、三谷幸喜の作・演出で甦る。木の実ナナと細川俊之の出演、福田陽一郎の脚本・構成・演出で1974年から1988年までシリーズ上演された“元祖”は、それまでにない大人のためのエンターテインメントを提示して、多くの観客やクリエイターたちを魅了してきた名作舞台だ。三谷もその影響を受けたひとりで、「いつか『ショーガール』のようなショーを作りたい」と切望。福田へのリスペクトを込めてタイトルはそのままに、いよいよ念願のショーの構築に乗り出すことになった。気勢が上がる演出家の信頼を受けてステージに立つのは実力派のふたり、川平慈英とシルビア・グラブである。

舞台『ショーガール』チケット情報

「舞台『国民の映画』の稽古場で、三谷さんに“慈英にソックリですね”って言われちゃった」と笑うシルビアに、川平は「シルビアとは、僕が“ダディ”と呼んでいた福田先生の舞台で何度も共演しているからね。ふたりとも福田作品のDNAを受け継いでいるんですよ」と自信の笑みを返す。三谷の慧眼に納得、伝説を引き継ぐにふさわしい最強のカップルだ。

「残念ながら『ショーガール』は未見ですが、いろんな人から話を聞いていて、そんなすごい作品ならやってみたいな…なんて思っていたんです。でも福田先生が亡くなられて、もうチャンスはないかなと思っていたところにお話が来たので、とてもビックリしたし、嬉しかった!」(シルビア)。「三谷さん、そう来たか! と思ったのと同時に、ショーガールの役がシルビアなら間違いない! と確信しましたね。福田先生に敬意を込めながらも、三谷バージョンの面白い舞台が出来上がるような気がします。もう僕、ダディに“極上のショーを届けるぜ!”って約束したから(笑)」(川平)。

意気込みの強さは、ふたりの晴れやかな表情とあうんの呼吸の掛け合いから一目瞭然。すでにショーを目の当たりにしているような息の合ったやりとりが楽しく、本番への期待が募る。同時期の公演となる三谷作品『君となら』の終演後、ステージをそのまま使って上演する試みも興味深い。お洒落な男女の物語を密やかに楽しむ、とっておきの時間が生まれそうな予感がする。

「この作品に選ばれたと思うと責任も感じます。大きなことを言っちゃいますけど(笑)、ミュージカル・シーンに新たな革命を起こしたい。そんなインパクトのある舞台にできたら楽しいですね」(シルビア)。「そう、ミュージカル界の可能性を広げるエポックメーキングな舞台にしたいよね。ぜひその船に乗って、真夏の夜のショーに酔いしれてください!」

公演は8月21日(木)から9月14日(日)まで東京・PARCO劇場にて。チケットの一般発売は6月21日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選「プレリザーブ」を実施中、6月9日(月)午前11時まで受付。

取材・文 上野紀子