『複製された男』(C) 2013 RHOMBUS MEDIA (ENEMY) INC. / ROXBURY PICTURES S.L. / 9232-2437 QUEBEC INC. / MECANI

ノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの同名小説をジェイク・ギレンホール主演で映画化した『複製された男』が7月に公開になる。タイトル通り、自分と“姿かたちがまったく同じ男”が存在することを知った男が主人公の物語で、緻密な設定と、先の読めないドラマ運びは作家たちからも高い評価を集めている。

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本作は、平凡な大学講師のアダムがある日、同僚に勧められた映画に“自分のそっくりな男”を見つけたことから始まる衝撃作。映画に出演していたアンソニーは何者なのか? 彼はなぜアダムと同じ姿をしているのか? もし複製あるとすれば、どちらが“オリジナル”なのか? 映画はギレンホールがふた役を演じ、謎に満ちた物語と衝撃の結末を描き出している。

日本公開よりもひと足早く関係者試写が行われており、作家たちから絶賛の声が多くあがっている。綾辻行人は「何故に蜘蛛? 何故にブルーベリー? 何故に……? 観終わって残る数々の「何故?」をじっくりと味わおう。手軽で明快な“答え”を欲しがちな近頃の僕たちの精神(こころ)には多分、こういう刺激こそがもっと必要なのである」、冲方丁は「強烈きわまりない不安と欲望の物語を、自由自在に映像表現へ翻訳・意訳する手腕に脱帽。散りばめられたモチーフのささやきにいつまでも浸っていたくなる。素晴らしい!」と言い、中山七里は「もう一人の自分――聞いただけで妄想の膨らむこのテーマは、純文学にもサスペンスにもミステリーにもホラーにも使える。ところが何とこの映画ではそれら全てを網羅してしまったのだ。惑え。手に汗握れ。そして驚け」とコメントしている。

物語は様々な要素やイメージが複雑に絡み合っており、その結末を予想するのはかなり困難なようで、有栖川有栖は「不条理な不思議な“問題編”で終わり、“解決編”を観客自身が創らなくてはならない知的で挑発的な映画。伏線を拾っていけば、一度観ただけでミステリーファンなら何とか解けるでしょう。半分ぐらいは」と解説。一度では見抜けないが思わず引き込まれる、一度観ると何度も繰り返し観たくなる作品になっているようだ。

『複製された男』
7月18日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開