簡単な料理のはずなのに、なんだか思った通りの仕上がりにならない…。そんなことはありませんか? 私自身、失敗の原因をよく考えてみると、食品に含まれる「水分」の調整に問題があった、という経験が多くあります。

そこで今回は、料理における「水分コントロール」に着目。ちょっぴり科学的な視点から、水分の調整に大きく関わってくる「浸透圧」の作用と「デンプン」の性質について取り上げてみたいと思います。

水分のコントロール方法がわかれば、いつも作っていたあの料理を、よりおいしく仕上げられるかもしれませんよ!

では、まず始めに、「浸透圧」についてお話していきましょう。

 

浸透圧とは?

簡単に言うと、「薄い細胞膜(半透膜)を隔てて濃度の異なる2つの液体があるとき、濃度の薄いものから濃いものへと移動しようとする力(その際に生じる圧力)」のことです。2つの液体は、最終的には同じ濃度になろうとし、また密閉されている容器の中では、この圧力は高まります。

調理の中では、浸透圧の働きを利用したものがたくさんあります。そして、それに大きく関わっている調味料として知られているのが「塩」(と「砂糖」)。野菜に塩をふって水分を引き出し、しんなりとさせる方法は、この作用の代表例です。