(左から)小松菜奈、役所広司、中谷美紀

鬼才・中島哲也監督の『告白』以来、4年ぶりとなる新作『渇き。』が完成。9日、都内劇場で披露試写会が開かれ、主演の役所広司、共演の小松菜奈、清水尋也、橋本愛、國村隼、オダギリジョー、中谷美紀と、中島監督が舞台あいさつを行った。

披露試写の模様

第3回「このミステリーがすごい!」大賞受賞の深町秋生による「果てしなき渇き」を映画化した本作。元刑事でロクデナシの父親(役所)が、突如、失踪した優等生の娘(小松)を捜すうち、娘の知られざる顔を突き付けられる劇薬エンターテインメントだ。

『パコと魔法の絵本』以来の中島組参加となった役所は、暴言を吐きまくる強烈キャラを演じ「気持ちよくやらせてもらった」と満面の笑み。続けて「初めてこういうキャラクターを演じさせてもらい、いい経験をさせてもらいました。(中島監督は)お芝居を丁寧に撮ってくださるので芝居が上手に見える。俳優にとってはとても得な監督です」と監督を称えた。大役に抜擢された小松は、演出が厳しいと噂の中島監督の印象を問われ、「私が緊張しているのを分かってくださり、気を使っていただきました。優しいクマさんみたいな方です」と意外な答えで笑わせ、監督から事前に悪口を言わないようにと釘をさされていたという中谷も「(監督は)優しいクマさんみたいな方です」と同調して、さらに笑いを誘っていた。

当の監督は「ヘビーな内容の話で、でも原作を読んで絶対に映画化したいと思いました。最初はこんな映画にお金を出してくれる人はいないと思っていましたが、みなさんの協力、特に役所さんがオファーを受けてくれたことが大きく、それ以降、素晴らしい俳優さんたちが集まってくれました」と告白。そして「血だらけで、目を伏せたくなるようなところもたくさんあるかと思います。そういうところは目を伏せていただいて。ただ途中で外に出ずにガマンして最後まで観ていただければ、人間ドラマとしてメッセージを受け取っていただけると思います」と半ば冗談を交えながらお願いしていた。

『渇き。』
6月27日(金)公開

取材・文・写真:望月ふみ