県外から南区の小学校に転校した快斗くんも防災頭巾を持っていったそう

続いて横浜市を東、西、南、北、中央とおよそのエリアに分け、各エリア2つの小学校をランダムに選び、計10校に聞いてみたところ、すべて入学時に学校指定のものか、個人での購入を指導していた。

小学校では、地震のときや避難訓練で防災頭巾を着用して机の下に潜る指導をしている。

横浜市教育委員会に問い合わせると、使用の義務化をしているわけではないが、ほとんどの小学校が着用の指導をしているという。高校でも学校指定の防災頭巾の購入を義務付けているところがあった。

 

学校指定の購入品に防災頭巾がふくまれている高校も(市内の私立高校HPより)

川崎市、相模原市の小学生とその親世代も、使用しているとの回答。神奈川県内での小学校ではほぼ使っているといっていいだろう。

横浜市内の大型スーパーやデパートでは「春の新生活コーナー」などにあったので、はまっこの必需品といえよう。

ではこの地域差はどうして生まれたのか。
横浜市教育委員会が義務化をしていないとのことから決定付ける資料がなく、取材は難航。
しかし、地震や防災頭巾に関する資料やサイトを元に調査していくと、1974~75年のできごととの関係が見えてきた。

 

1970年代中頃から関東では防災頭巾が必需品に

防災頭巾形状は40年前とあまり差はないが防炎素材のものなど種類が増えている(提供/国民生活センター「子ども用防災頭巾の安全性レポート」より)

「防災頭巾の謎を探る」サイトの概説によると、1974年~75年にかけて関東の学校関係者が防災頭巾を採用し爆発的に普及したとあり、その背景には2つの理由があったようだ。

1つは東京都で起こった、連続企業爆破事件の影響だ。事件を調べてみると、最初の三菱重工爆破事件で8人が死亡、385人が重軽傷を負った。このとき40トンものガラス破片が散乱し、負傷者のほとんどはガラスの被害によるものだった。その後1年間で9社もの企業が爆破され、当時史上最悪のテロ事件といわれていた。

2つめは川崎で大地震が発生すると噂がたったこと。日本地震学会の資料によると、関東大震災の再来が噂された1971年に、大震災を想定した本格的な防災訓練が地域や学校で始まったとある。1975年には、川崎市付近の地盤の異常隆起が見つかり、川崎直下型地震を想定した訓練が行われた。1977年には東海地震の噂を受けて、富士市でも訓練が始まる。

電話調査では静岡、愛知、岐阜県の東海地方の使用も確認できた。やはり大地震が起こるといわれる地域で防災頭巾が必需品となったと考えられそうだ。

調査では関西で唯一、兵庫県の保育園での使用がわかった。防災頭巾を製造・販売している「防災頭巾の防災屋」(岐阜県)によると、阪神淡路大震災以降に兵庫県からの注文が増えたとのこと。
被災地や地震が起こると噂される地域では、防災意識が高いのだろう。しかし、防災頭巾を使用していない関西の小学校では学校がヘルメットを用意している所が多いとのこと。

これまでの調査を踏まえると、連続企業爆破事件の影響が残る関東では、頭上からの落下物だけではなく顔や肩までガラス破片から守ろうとする意識が働き、防災頭巾の使用が多くなり、大地震の発生が噂される地域に広まったと考えられそうだ。