左から、山口馬木也、中村誠治郎 左から、山口馬木也、中村誠治郎

エレキテルを開発したことでも知られる、稀代の発明家・平賀源内。彼とその発明品、またライバルや幕府を巻き込んでの事件が展開されるオリジナル舞台『江戸のえじそん』が、7月に上演される。そこで主人公・平賀銭内役の中村誠治郎、そのライバル・早矢手役の山口馬木也に話を訊いた。

舞台『江戸のえじそん』チケット情報

銭内という人物像について中村に尋ねると、「これは(脚本・演出の)なるせゆうせいさんから聞いた話ですが、銭内というのは、お金がない源内のあだ名だったらしいんです。だから奇抜な人というイメージの強い源内ですが、案外普通の人だったんじゃないかなって。つまり無理に奇抜な人を演じるのではなく、普通にしているんだけど、その結果が奇抜に見えていけばいいのかなと思います」と分析する。

一方、早矢手役の山口は「まだ頭の中が真っ白で」と笑いながら、「僕は台本をもらった時、まず譜面的な読み方をするんです。つまりドの音を出せるなら、バイオリンだろうがトランペットだろうが、譜面さえ外さなければそれでいい。でも今回は多少の不協和音を出しても成立は出来るのかなと。というのも時代劇であって時代劇でない、ファンタジーのような作品だから。最終的にはなるせさんという指揮者がいますし、奇抜な音を出してみるのも面白いのかなと思います」と、独自の演技論を展開した。

中村は殺陣師としても参加。だが立ち回りは山口も得意とするところであり、中村は「僕なんかが生意気な気がして…」と恐縮しつつ、「でもせっかくの機会ですし、思いきって挑戦していきたいですね。もし馬木也さんとの一対一のシーンがあるなら、ぜひディスカッションしつつ一緒につくっていきたいです!」と意気込む。そんな中村の言葉に、「それいいね!」と山口。「誠ちゃん(=中村)くらいやれる人なら、ところどころで崩したり、遊びの幅を広げることも出来ますから。それはすごく楽しみです」と続ける。

カンパニーには20代の若手も多く、「若い人たちの芝居って、僕ら世代の舞台より絶対にいいんですよね。言い方は悪いかもしれませんが、ビギナーズラック的なところがあって。その若いエネルギーに負けないよう、僕も頑張らないといけないなと思います」と山口。すると中村は、「僕らにとって馬木也さんがいてくださる心強さは、ハンパないもの。もちろん嬉しい反面、怖さもありますが、思いきってこの状況を楽しめたらいいなと思います」と決意を新たにしていた。

公演は7月11日(金)から21日(月・祝)まで東京・あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)にて。チケット発売中。

取材・文:野上瑠美子