二階堂ふみが語る“運命”の映画『私の男』

2014.6.12 10:15配信
二階堂ふみ

撮影中、4度も流氷が浮かぶ海に飛び込んだというエピソードも衝撃的だが、何より彼女が見せる、氷をも溶かしそうな烈しい熱を帯びた表情が印象的だ。寒さにも、濃厚なラブシーンにもひるむことはなかった。「この現場に身を置くことができるのが幸せでした」二階堂ふみが映画『私の男』について語った。

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原作は桜庭一樹の直木賞受賞小説。10歳で孤児となった花と彼女を引き取った遠縁の淳悟(浅野忠信)が互いを強く求め、寄り添って生きていくさまを鮮烈に描き出す。

「運命の作品」。二階堂は迷うことなくそう語る。桜庭の小説が好きで、原作も中学生で読んでいた。そして数年前に顔を合わせて以来、出演を熱望してきた熊切和嘉監督の存在。これらの要素がピタリと噛み合って「全てにおいて特別な作品」となった。撮影は彼女が18歳を迎えるのを待って開始された。「お話をいただいて1年ほど時間があり、その間に他の仕事もあったけど、ずっとこの作品を自分の中で温めていた感じでした。監督に抱いていた運命的な感覚は、撮影に入っても強くあって、現場では(完成形を)想像できなかったんですが、凄いものになるという予感はあったし、出来上がったものを見たら期待を遥かに超えていました」。

花と淳悟の関係は“禁断の愛”“タブー”といった言葉でセンセーショナルに表現されるが、二階堂自身は花という少女を周囲とかけ離れた特別な存在とは捉えなかった。「少女が女性になる時、誰しもある種の“無敵感”を持っているもので、多くのものを失ったり、得たり、気づかずに捨てていたりする。彼女自身が大きく変化するというよりは、ただそこにいるだけで周りの大人が渦に巻き込まれていくのを強く感じました」。

撮影現場では浅野とは、淳悟と花の関係性のまま過ごした。「2人が深いところで通じ合っている部分、言葉で表せない空気感がすごく強い。私がいままで出したことのなかった花としての声や表情を、熊切さん、浅野さんに引き出していただけたと思います」。

個性的な役柄を求められることが多いが、常に意識しているのは「自分はひとつの映画を作る上で俳優部の一人として参加している」ということ。運命の作品との邂逅を経てもスタンスは変わらない。「前の作品にすがってちゃいけないなと思います。日本映画界全体が、過去の名作にすがるのではなく、新しいものをどんどん作っていけるようにしたい。私自身、若い人に映画を見てもらうにはどうしたらいいのか? と考えてます」。

19歳の視線は日本映画の未来を見据えている。

『私の男』
6月14日(土)より全国公開

※取材・文・写真:黒豆直樹

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