BCNは、6月12日、記者発表会を開催し、全国の家電量販店・ネット販売店の実売データを集計したBCNランキングのデータをもとに、PC・デジタル家電市場の最新動向を解説し、今後を展望した。テーマは、「4Kはデジタル家電の救世主になれるのか――増税後の市場変化と夏のボーナス商戦展望」。

消費税増税後の市況は、増税前の駆込み需要で大きく伸びた2~3月の販売数量と比較すると各カテゴリで下回っているものの、4月が最低値で、5月以降は回復傾向にある。週次データで分析すると、PCは、ノート・デスクトップとも前年同月比70%台と低調だが、液晶テレビやBD(ブルーレイディスク)・DVDレコーダー、タブレット端末などは前年同月比以上の販売数を記録。販売金額だと傾向はより顕著で、多くのカテゴリで回復の色が濃くなっている。

市場構造が大きく変化しているのが、4K対応の液晶テレビだ。5月には、50V型以上の販売台数構成比が初めて2割を突破し、金額構成比では4割に迫る勢いをみせた。道越一郎エグゼクティブアナリストは「4K市場は確実に成長しているが、対応するチューナーの発売などはこれからで、現段階は地ならしの状態。年末商戦から本格拡大に拍車がかかるのではないか」と分析。メーカーのシェア争いについては、「昨年5月はソニーが90%以上のシェアを獲得する独壇場だったが、この一年で他のメーカーもシェアを伸ばしている。平均単価が30万円前半まで下がったこともあって、競争環境が整ってきた」と、市場が活性化している状況を語った。

4K対応の液晶ディスプレイは、液晶テレビと比較すると販売台数で1%に満たないが、平均単価が10万円を切り、徐々に市場が立ち上がりつつある。特に昨年末から急速にシェアを拡大しているのが、フィリップスやデルなどの低価格が売りの海外勢だ。5月以降、4Kモデルを販売するメーカーが増え、今後の成長が楽しみな市場だ。

駆込み需要の反動が如実に表れたのがPCで、消費税増税と4月のWindows XPのサポート終了を前にして2月中旬に始まった特需は、ゴールデンウィーク前には終わり、以降はノートPC・デスクトップPCとも、前年の8割程度の販売数量まで落ち込んでいる。これは、過去3年で最低の水準だ。

一方で、成長路線を走っているのがタブレット端末。5月のノートPC・デスクトップPC・タブレット端末の3カテゴリを合わせたタイプ別販売台数構成比で40.3%を占めた。5月の販売台数同月比は98.2%と、若干前年割れだったが、市場は着実に拡大している。7インチ台で350g未満の小型モデルが大勢を占めるが、10.1~11.6インチのモデルでは、ノートPCとの競合関係ができあがりつつある。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。