でも、猫が100匹以上いる小さな島に島民は14人。話題になったことで今、観光客が激増しているというこの猫の島・青島。猫好きの筆者もこの写真集を 「可愛い、行きたい!夢の島だ~」と楽天的に眺めていたのですが、この写真集を作った「ねこみゅ!」のスタッフの言葉にハッとさせられました。

 

そこは本当に猫の楽園なのか?

この写真集を作るにあたり、青島の取材に行って見たこと、感じたことが最後に綴られています。

小さな離島・青島は元は静かで穏やかな生活圏であって観光地ではないので、宿泊施設はもちろん売店すらないそうです。収益を前提とした観光地と観光客という関係が成立していないばかりか、極端に言えば、島民生活圏とそこへの侵入者という関係にもとれるので、マナーやルールを守る心がけは、一般の観光地を訪れる以上に必要となるということ。

けれども、島に渡るための1日2往復の定期船には乗り切れないほどの観光客が押し寄せているのです。

また、島内にはこんな張り紙も。

『ねこ大好きな皆様へのお願い
この付近でエサをやらないで
1.近くには診療所や上下水道設備&待合所等の公共施設があります。
2.たくさんのエサを無理に与えるとあちらこちらでもどしてしまいます。
3.余ったエサ等はねこ好きな島民にお預けください。
――ねこがあまり好きでない島民より』

『猫へ餌をあげすぎることで、お腹をこわしたり、餌をもどしたりする体調の悪い猫も多くなっています。また、島のいたる所でフンをすることから悪臭等も出始めておりますので、基本的に餌やりはご遠慮ください。なお、どうしても餌をあげたい人については、場所を取り決めましたので、その場所でお願いします。
静かに見守ってほしいニャー ――青島 島民より  (抜粋)』

猫が増える前から島に住んでいる島民の中には、猫が好きでない人もいるのかもしれませんし、猫が増え、メディアに取り上げられたことによって観光客が急増し、猫に良いイメージを持たなくなった人もいるのかもしれません。それはとても悲しいことですし、ただ“可愛い”ばかりではない現実が、そこにはあることを気付かされます。