デジタル製品の中古品市場が活況だ。例えば、中古のスマートフォンとMVNOの“格安SIM”を組み合わせれば、大手携帯電話と長期の通信契約を結ぶことなく手頃な費用でモバイル端末を楽しめる。また、ゲーム機はもともと中古流通が盛んだったが、「Nintendo Switch」に関しては昨年から今年にかけて、中古品の価格が新品を上回る現象も発生した。一部では「転売」の是非をめぐる議論もあったが、多くの消費者がゲーム機の中古市場にあらためて高い関心を示したことは間違いない。 一方、最近徐々に難しさを増しているのが、中古PC販売の事業だ。ビックカメラの2018年8月期上期(17年9月~18年2月)決算では、各部門がおしなべて好調ななか、品目別売上高で「中古パソコン等」が前年同期比36.5%減の大幅な縮小となった。同社傘下のソフマップが秋葉原地区で店舗を集約したことや、それに伴う在庫の入れ替えなどが背景として考えられるが、それにしても縮小幅は大きい。

ソフマップの渡辺武志社長は昨年、「もともとソフマップに商品を売っていた顧客の一部が、『メルカリ』などのC2C(個人間取引サービス)に流れていると感じている」と話し、C2Cの台頭が店舗型の中古ビジネスに一定の影響を与えているとの見方を示していた。ただ、C2Cの人気で中古品取引の規模自体は大きく拡大しており、消費者の中古デジタル機器に対するハードルを下げるという意味では、それらのアプリも市場の活性化に貢献しているという見方もできる。

実店舗を構えて中古PCを販売している別の店では、「メルカリの影響は感じていないが、PCのライフサイクルが長くなったことで、買い取りが少しずつ難しくなっていることは間違いない」という声を聞くことができた。PCの性能進化が急速だった時代とは異なり、今では3~4年前の機種でも、インターネットの利用や基本的な事務作業には支障がない。消費者がPCを手放さなくなったため、中古市場での商材の回転が鈍くなっているということだ。

●仕入れて売るだけでない、ビジネスの組み合わせが肝要

このような環境下でも、中古PC事業を拡大する動きを見せる販売店は現れている。

ゴールデンウイーク初日の4月28日、ユニットコムは秋葉原の電気街に「パソコン工房 秋葉原アウトレット館」をオープンした。同社はECサイトや、一部店舗内のコーナーで長らく中古PCを販売しているが、あえて専門の実店舗を増やし、中古PC事業を強化する。

ポイントとなるのは、同店の名称が「中古PC専門店」ではなく「アウトレット館」であることだ。店内には中古のPC本体や周辺機器、スマートフォンが並ぶが、それらに劣らず売り場の多くを占めているのが、同社の自社製品である「iiyama PC」のアウトレット品だ。

在庫の最適化というアウトレット販売の目的を果たしながら、電気街を訪れる感度の高い消費者に「掘り出し物を見つける」楽しみを提供する。また、アウトレット品と中古品を同じ店内に並べることで、価格帯の幅が広がり、顧客の予算に応じた商材を提案できるようになるといった利点もある。

企業向けにPCのレンタルサービスを提供している横河レンタ・リースは、今年2月に一般消費者向けの中古PC販売サイト「Qualit(クオリット)」を開設した。企業向けビジネスの比率が圧倒的に高かった同社がコンシューマ事業を手がけるのは異例だが、レンタル期間が終了して企業から返却されたPCには、状態が良好で価値の高いものも多く含まれており、高い収益性が期待できることから新規事業に乗り出した。

Qualitで販売するPCは、仕入れからレンタル中のトラブル対応、返却後のデータ消去や動作試験まで、横河レンタ・リースがすべて自社で対応してきた機器であることが特徴だ。このため、複数の業者を渡り歩いてきた中古品と異なり、どのような環境で使用されてきた商品かを販売店である同社が熟知している。また、同社には1日1000台といった規模で企業からPCが返却されており、これを適切にクリーニングし、品質をテストするためのテクニカルセンターを運営している。質・量ともに高い水準を維持できるため、結果的に状態のよい中古PCを安く消費者に販売できるのが強みだという。

このタイミングで中古PCのビジネスを拡大できる事業者をみてみると、単に中古品を仕入れて売るだけではなく、他のビジネスとの連携の中で巧みに収益性を高めていることがわかる。スマホアプリで個人間取引の利便性が高まるなか、中古品取り扱いのプロフェッショナルである販売店にはプラスアルファの価値が求められる。(BCN・日高 彰)

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