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昆虫キッズのライブ「『BLUE GHOST』発売記念公演「Stay Ghost」」が 6月11日に東京・Shibuya WWWで開催された。

5月21日にリリースされた昆虫キッズ4枚目のアルバム『BLUE GHOST』のレコ発ライブであるこの日の公演は、同作のレコーディング&ミックス・エンジニアを担当したカメラ=万年筆の佐藤優介をサポートメンバーに迎えた特別なバンド編成で開催。一般公募で募集したOA、高島連と、京都の男女2人組ユニットHi,how are you?の原田による即興演奏が大盛況で終了したあと、ライブはスタート。1曲目は3rdアルバム収録の『街は水飴』からスタート。音源との差異がないという前提がありつつ、逆にそこから逸脱させる事で音源とはまた違った楽曲の魅力を引き出すのが彼らのライブの特徴であるが、この日のライブは佐藤が加わった事で、その点がもっと強固になっているように感じた。特に新作の楽曲はもちろん、この『街は水飴』のように普段のライブでも披露されている既存の楽曲もビルドアップされていた印象だ。その後のMCでVo/Gの高橋はこの曲の「去った雨はもう傘いらなかった」という歌詞についてふれ、「嘘ついてすみませんでした!」とこの日の都心を襲った豪雨にかけて、会場の笑いを誘っていた。

その後は新作の楽曲を余すところなく披露しつつ、『いつだって』『まちのひかり』『ASTRA』そして久々に披露するという『27歳』など、既存の曲を織り交ぜライブは進行。どの曲も浮かない完璧なセットリストに、豪雨の中来たファンは思い思いに体を揺らす。G/Keyの冷牟田、Baののもと、Drの佐久間の演奏も、淡々としている所と駆け足になる所のグラデーションがはっきりしていて、高橋の緩急をつけた歌声と相まって、観ている者の感情を揺さぶる。この日のライブは決して特別でドラマチックな事を強調していないが、普段はシニカルな目線を持つ彼らがあえてその姿勢を貫く事で、このレコ発の持つ意味を表現しているように感じた。

アンコール後、最後の曲前のMCで高橋は「今0.5%くらい泣きそうになっていた。まあ0.5%だからあと99.5%必要だから泣かないんだけど」とうそぶき、佐久間に「泣く奴は大体100%だからね。てかそれだと泣かないほうだよ。むしろ元気なほうだぜ」と言われ、会場中が笑っていたが、アルバム『BLUE GHOST』の持つメッセージと、そのアルバムリリースであるこの日のライブが大盛況だった事を考えると、達成感を考えても感極まってもおかしくなかった筈だ。そこに客観性があるのがこのバンドの魅力であると、また最後に気づかされた。ライブの最後は『FULL COLOR』を披露。選曲もパフォーマンスもこれまでの彼らの活動の集大成であるようなこの日のライブは、曲のアウトロでギターのノイズが響きわたり、最後ステージに残った高橋が「ありがとうございました」と頭を下げ、幕を閉じた。

昆虫キッズはこの後、リリースツアーで全国を周る。ライブ情報は随時更新されるそうなので、公式サイトでご確認を。