<地域No.1店舗の売れる秘訣・レモン社 三越日本橋店>百貨店内の出店という新しい試み 写真撮影の「楽しさ」を伝える

2014.6.18 10:38配信

3月26日、東京・日本橋の老舗百貨店、日本橋三越本店に、カメラ専門店のレモン社三越日本橋店がオープンした。百貨店内での出店は、レモン社にとって初の試み。カメラ専門店として、デジタル・アナログを問わず、他店では手に入りにくいカメラを販売しながら、写真の「楽しさ」を伝えるサービスの提供に力を入れて、百貨店の来店者を顧客として獲得する。(取材・文/佐相彰彦)

レモン社 三越日本橋店

店舗データ

住所 東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店 本館7階

オープン日 2014年3月26日

売り場面積 535m2(フロア全体)

従業員数 2人

●三越本店に新コンセプトのフロア カメラ専門店のレモン社が出店

高層ビルが立ち並ぶオフィス街で、観光地としても知られる日本橋。複数の百貨店や複合商業施設がある繁華街でもある。なかでも、1673年に呉服店の越後屋として創業し、1904年に日本初の「デパートメントストア宣言」を掲げて今年で110年を迎えた日本橋三越本店は、街のステータスシンボルになっている。今年3月26日、その日本橋三越本店の本館7階に、新しいコンセプトを掲げた複合型フロア「Hajimarino cafe(はじまりのカフェ)」がオープンした。

「はじまりのカフェ」は、535m2の売り場に食文化・旅・アウトドア・趣味・ものづくりなどに関連する約40社のショップが軒を連ねる。通常の百貨店と違ってショップ間に仕切りがなく、フロア全体を一つの店舗に見立てて、「PLAY/遊ぶ」「SHIFT/変える」「LEARN/学ぶ」という三つのキーワードにもとづいて、各ショップが店をコーナーの一つのように仕上げている。スタッフのユニフォームは各ショップ共通で、カフェらしくエプロンを身に着けている。各ショップが連携して売り場づくりに取り組んだフロアだ。

そのフロアの一角に、レモン社三越日本橋店がある。レモン社は、カメラ専門店のナニワグループとして、銀座教会店と新宿店の2店舗を構える。銀塩カメラやデジタルカメラの新品や中古品を販売しているほか、時計や万年筆、鉄道模型も取り扱っており、ほかの家電量販店とは一線を画した品揃えで「大人の趣味の店」として知られ、カメラ愛好家などにファンが多い。しかし、店舗の責任者を務める鈴木健之フォトアドバイザーは、「これまであまりカメラになじみのなかった方をお客様として獲得していく」という方針だ。レモン社にとって百貨店への出店は初の試み。その目的は、新規顧客の開拓なのだ。

●サービスを重視したスタイル 撮影の敷居を下げてハード販売へ

レモン社三越日本橋店は、銀座教会店や新宿店同様、「大人の趣味の店」をコンセプトに掲げるが、「カメラになじみのなかった方を獲得していくにあたって、同じやり方ではお客様に敷居が高いと思われてしまう。写真の楽しさを知ってもらうことが大前提」(鈴木フォトアドバイザー)という。そのため、いま力を注いでいるのは、カメラや関連製品などのハードの販売よりも、サービスの拡充だ。

提供している主なサービスは4種類。一つは「節目ブック」。「自分史」「家族史」「バースデー」などをテーマにした写真を持ち込むと、一冊の本にしてくれるサービスだ。本のサイズなどを定型化した「お仕立て節目ブック」と、デザイナーといっしょに作成する「オーダー節目ブック」の二つを用意している。「ご自宅の物置やタンスにあった写真を思い出の一冊にできるということで、高い評価をいただいている」(鈴木フォトアドバイザー)とアピールする。「オーダー節目ブックは個別見積もりだが、数十万円のお金をかけて『これまでの人生を一冊の本として作成したい』というお客様もいる」という。

また、子どもが描いた絵をスキャンしてアート作品に仕上げる「こどもアート」というサービスは、孫からもらった絵を「作品」にしたいシニア層から人気。子どもにプレゼントするファミリーもいて、「さまざまなお客様を獲得している」とのことだ。

普及が進むスマートフォンのユーザーを狙ってサービス化したのが、オリジナルケースの作成。写真を持ち込んで、デザインテンプレートを選択すれば、自分だけのスマートフォンケースが手に入る。鈴木フォトアドバイザーによれば、「ケースにこだわるスマートフォンユーザーから、問い合わせが多い」そうだ。

さらに、フィルム写真やアルバムをデジタル化するサービスも、「パソコンやHDDに保存したいけれど時間がない、というお客様に好評」だという。無料の発送キットを用意しているほか、自宅を訪問して集荷・梱包するサービスも提供している。

もちろん「Leica(ライカ)」の限定モデルなど、家電量販店では扱っていない銀塩カメラをはじめ、デジタルカメラの新品/中古品も販売している。「カメラにくわしくないお客様に写真の楽しさを知ってもらうには、まず『撮影したい』という気持ちになっていただくことが大切」と鈴木フォトアドバイザー。そのためにサービスを重視する。もちろん、カメラの機能をわかりやすく説明する接客で写真への敷居を下げ、ハードの販売につなげることも忘れてはいない。

●店長が語る人気の理由――鈴木健之 フォトアドバイザー

銀座教会店と新宿店でスタッフとして働いていたときは、時計など、新たに取り扱う商品を担当する機会が多かった。そんな新規事業を確実に成功させてきたからだろう、日本橋三越本店内への出店の話がもち上がったとき、責任者として白羽の矢が立った。これまでとは違う顧客層。「カメラに興味をもっていただくのに、お客様のキャリアは関係ない。そのお客様に合ったコミュニケーション・説明を行う」というのが鈴木フォトアドバイザーの姿勢だ。

オープンから2か月が経過し、最近はフロア内にある他社の店舗と連携する動きが出てきている。業界の枠を越えた取り組みで、カメラ愛好家を増やしていく。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年6月9日付 vol.1533より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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