エマ・ワトソン 写真:AP/アフロ

公開中の映画『ノア 約束の舟』にエマ・ワトソンが出演している。彼女が演じた女性イラは映画の題材になった聖書には登場しないが、ワトソンは演じる上で「迷いはなかった」と振り返る。

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本作は、堕落した人間を滅ぼすために地上からすべての生きものを消し去ることを決めた神の声を聞いたノアが主人公で、彼はすべてを飲み込む大洪水に備えて巨大な箱舟を作ろうとする。ワトソンが演じるイラは聖書には登場しない映画オリジナルのキャラクターだ。「彼女がどういう女性なのか、私にはまったく迷いはありませんでした。すぐに彼女を理解できました。いろいろな意味でイラはシンボルであり比喩なんです。この世には他人の長所が見える人と見えない人とがいます。イラはどんなときも希望を見出すし、他人や人間の良いところが見える人です。それがこのストーリーの重要な部分になっています。人間というものは本来邪悪なものなのか、あるいは欲深くならないことはできるのか、本当はもっと利他的なのだろうか、という問いかけの中で彼女が大きな部分を占めているんです」。

イラはノアの養女として穏やかに成長するが、やがて“ある出来事”を巡ってノアと対峙する。ラッセル・クロウとワトソンの緊張感あふれるやりとりは本作でも大きな見どころのひとつだ。「ラッセルは、自分が完全に理解し信じているセリフ以外は口にしません。納得がいかないことを、それでよし、としてしまう人ではないんです。彼はとても細かいところまでこだわります。本気で取り組んでいるんです。適当に済ませてしまうなんてことはありません。とても尊敬すべき演技への取り組み方です。でもその一方で、ものすごく優しい面もあります。最初、私は彼に会うことにかなり気後れしていましたが、実際に会ったら、とても思いやりのある人でした」。

撮影では聖書に記載されたサイズ通りに巨大な箱舟が建てられたが、特殊効果が追加され、編集されて完成した作品に彼女は「本当に驚いた」という。「どう説明していいのかわからないけれど、とにかく今まで見たこともない映画だとしか言いようがありません。前例のない作品なんです。“なぜ今、ノアなのか?”というと、物事には波があるからでしょう。どういう理由にしろ、今、人々が語りたい、あるいは聞きたい、と思っているのがこういう物語なんです。将来、映画史の研究家が今の時期を振り返ったら、私たちの文化がなぜこうした古い物語を求めたのか、子どもの頃に初めて聞いた物語にまた戻らなければいけなかったのか、という理由がきっとわかるんじゃないでしょうか」。

『ノア 約束の舟』
公開中