『マレフィセント』のデザイン画。若き日のマレフィセントを描いたもの(C)2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

アンジェリーナ・ジョリー主演作『マレフィセント』は、ジョリーがディズニーの傑作映画『眠れる森の美女』に登場した魔女マレフィセントを演じる作品だ。しかし、本作でマレフィセントは“妖精”という設定になっている。単なる言葉の問題なのか? それとも設定変更か? 実は本作の脚本開発の段階で判明した“発見”が大きく関係しているようだ。

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これまで多くの人々に愛されてきた物語を、現代の観客に向けて語りなおすため、『美女と野獣』『ライオン・キング』『アリス・イン・ワンダーランド』も手がけた脚本家リンダ・ウールヴァートンが招かれた。彼女は打診を受け「私がそれまで持っていたマレフィセントのイメージは、善良な人たちのいるお城になってきて赤ちゃんが死ぬように呪いをかけた悪者。今回は『アリス・イン・ワンダーランド』のようにまったく新しいアリスを作り出す訳ではなかったので本当に苦労したし、ほとんど不可能だと思った」と振り返る。

そこで彼女は改めて“マレフィセントとは一体、何者なのか?”についてじっくりとリサーチを行った。その結果、マレフィセントの原型は仙人(仙女)、賢人(賢女)、妖精(悪い妖精)、占い師など様々な姿で描かれていたことを発見する。「マレフィセントは魔女ではなく、妖精として生まれた事を発見したの。妖精について調べてみると、どこの国にも妖精の話があり、呼び名が違うだけという事がわかった。妖精は自然を守る役目があり、妖精の力は地面からくるの。興味深いリサーチだったわ」。

ウールヴァートンはさらに調査を続けてマレフィセントが湿地に住む“木の妖精”で、他の妖精より大きい人間サイズで、自分の守っている森に人間が侵略してくる事をよく思っていないことを突き止める。「悪役について書くとき、なぜ彼らが悪役になったのかを書きたい。何故かということを理解することが大切」というウールヴァートンは「悪役ではあるけれど、マレフィセントを理解し、彼女との絆を築くことが大切なの」という。

ヒロインに呪いをかけ、人々を怖がらせてきたマレフィセントは“魔女”ではなかった。では、“妖精”である彼女は一体、どのような存在なのか? 彼女はなぜオーロラ姫に呪いをかけたのか? 映画『マレフィセント』は、過去にあった物語を単に“語りなおす”のではなく、まだ誰も知らない物語を描いた作品になりそうだ。

『マレフィセント』
7月5日(土) 2D/3Dロードショー