左から 昆夏美、知念里奈、笹本玲奈、市村正親、駒田一、ダレン・ヤップ 左から 昆夏美、知念里奈、笹本玲奈、市村正親、駒田一、ダレン・ヤップ

7・8月に東京・帝国劇場で上演されるミュージカル『ミス・サイゴン』。1992年の日本初演以来再演を重ね、2012年には“新演出版”として登場、日本各地で絶賛を浴びた作品だが、今年5月の本場・ロンドンでの新演出版開幕を受け、さらにブラッシュアップされて帝劇に戻ってくる。6月19日、都内にて現在の稽古場の様子が披露されるとともに、市村正親らメインキャストが見どころや意気込みを語った。

『ミス・サイゴン』 チケット情報

この日披露されたのは4シーン。幕開け早々の『火がついたサイゴン』は、戦争の渦中にあるサイゴンのキャバレーが舞台。フランス系ベトナム人のエンジニア(市村正親)が経営するこの場所で、ベトナム人少女キム(知念里奈)とアメリカ兵クリス(上野哲也)が出会う。同時に、人々の渦巻く欲望や野心が描かれるシーンでもある。そのシーンの“リアル”にまず圧倒される。メインキャストのみならず隅のひとりひとりまでが、サイゴンに実際に存在している人々のようだ。取材陣が、猥雑な熱気のあるキャバレーの渦中に放り込まれたかのような錯覚を覚える。続いて披露されたキム(昆夏美/笹本玲奈)とクリス(原田優一)のロマンチックなシーンでも熱のこもった演技が続く。さらに『生き延びたけりゃ』では、今回エンジニア役に初めて抜擢された駒田一が、自らの欲望のためにはどんな汚い手段も厭わない迫力の演技を見せる。『ミス・サイゴン』の世界が立体的に立ち上がり、本番へ大きな期待を抱かせた。

稽古披露に先立ち、エンジニア役の市村正親と駒田一、キム役の笹本玲奈、知念里奈、昆夏美、日本版演出補のダレン・ヤップの合同取材会も行われた。ダレンは「ロンドンでも開幕したばかりですが、帝国劇場ではヘリコプターが登場します。また、(劇中歌の)『アメリカン・ドリーム』のシーンでは自由の女神が登場します」と、新演出版では映像となった実物大ヘリコプターが復活することなど、見どころを語るとともに、「今回、エンジニアがふたりいらっしゃる。市村さんは非常に豊かな経験を持って役を演じてくださる。駒田さんは新しく、ワクワクするようなエネルギーでエンジニアを演じてくださる。そしてそのふたりの異なるエネルギーが2014年の『ミス・サイゴン』に多大な影響を与えていく」と日本カンパニーの魅力を話した。

そして日本初演よりエンジニアを演じ続ける市村は「2年前の新演出版よりもさらに、細かい部分で演出が変わっていますし、歌詞も変わっています。そのことで(同じシーンでも)新しいシチュエーションが生まれている」と話すとともに、「ロンドンの初日を観てきましたが、やっぱりアンサンブルたちが活躍するシーンで感動をした。だがよく考えてみたら、日本のカンパニーのアンサンブルたちも負けず劣らず張り切っている。ロンドンに負けないくらいのものが出来る」と自信を語った。

公演は帝国劇場にて、7月21日(月・祝)にプレビュー開幕。東京公演は8月26日(火)まで。チケットは発売中。その後新潟、愛知、大阪、福岡、神奈川でも上演される。

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