ディスプレイの進化を支えるニコンのFPD露光装置「FX-103S」

Appleの「iPhone X」の発表以降、ディスプレイの一部にノッチ(切れ込み)のあるデザインのスマートフォンが増えた。「iPhone X」はもちろん、Android搭載スマートフォンでも、今年に入り、海外で発表された有力メーカーの最新機種は、いずれもノッチがあり、ディスプレイは従来の液晶に比べ、黒の発色が濃くキレイな有機ELディスプレイだ。

こうしたデザインの変化は、カメラメーカーとして知られるニコンの精機事業の主力の一つ、FPD露光装置の最新機種によるところが大きいだろう。

半導体露光装置/FPD露光装置は「史上最も精密な機械」と呼ばれ、FPD露光装置に関してはニコンとキヤノンの2社の寡占市場。しかも1台が非常に高額なため、販売実績は会社の業績に大きく影響する。また、納入先は主に海外であり、iPhoneが販売不振だと、日本のメーカーに悪影響が出るといわれるわかりやすい一例だ。

「iPhone X」はもちろん、「HUAWEI P20 Plus」や「ZenFone 5」向けのディスプレイの製造には、第6世代のプレートサイズに対応する最新機種「FFX-68S」が用いられている可能性が高い。

また、18年第3四半期から販売を開始した新製品「FX-103S/FX-103SH」は、第10.5世代のプレートサイズに対応し、4Kテレビや今後普及が期待される8Kテレビ、高精細タブレットの液晶パネル、有機ELパネルなどの量産に最適な装置だ。

5月のGW明け後、ソニー、パナソニック、東芝が相次いで4K有機ELテレビを発表。タイミング的に、「FX-103S/FX-103SH」の登場が寄与しているとみられる。これまでも、そして今後も、ディスプレイの高精細化とデザイン面の変化、それを支えるFPD露光装置の進化は続くだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)