『300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』 (C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

エヴァ・グリーン。一文字足せばエヴァーグリーン。のっけからダジャレみたいで申し訳ないが、名前はまるで癒し系ワードなのにこれほど癒し系とは程遠い女優もいるまい。

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エヴァ・グリーンと聞いて多くの人が思い出すのは、おそらく『007/カジノ・ロワイヤル』のボンドガール、ヴェスパー・リンドだろう。『ドリーマーズ』のデビュー作とは思えぬ放埒すぎる脱ぎっぷりが忘れられない人もいるだろうし、『ダーク・シャドウ』でジョニー・デップを完全に喰った魔女役も強烈だった。

いずれにせよ、エヴァ・グリーンはいつだって濃い縁取りのゴスなアイメイクで邪な暗さを放出させ、トレードマークの巨乳を乱暴に付き出しながら、劇場にセクシー爆弾の絨毯爆撃を浴びせてきた。エヴァ・グリーンの同義語とは“魔性”であり、対義語を挙げるなら“清楚”である。

そんなエヴァ・グリーンがついに一世一代のハマリ役に出会ってしまった! 『300〈スリーハンドレッド〉帝国の進撃』の超凶悪女将軍アルテミシアだ。前作『300〈スリーハンドレッド〉』ではジェラルド・バトラー演じるレオニダス王が率いる猛々しい半裸の男300人が画面を支配していたが、スパルタ軍が全滅した今、300人分の穴をアルテミシアがたった一人で埋めてみせたと言っても過言ではない。

ぶっちゃけ物語上の主人公はギリシャ諸国をまとめてペルシア帝国に立ち向かうテミストクレスなる男なのだが、今となっては顔も思い出せない。それくらいエヴァ・グリーンのアルテミシアはあらゆる観客の脳裏にヤバいオーラを焼き付けるのだ。

前半の見せ場は復讐心を殺戮と陰謀に変えるアルテミシアの哀しさであり、中盤の見せ場は「認めた男はとりあえず喰っちまえ!」という超肉食系のセックスバトルであり、終盤の見せ場といえば二刀流でギリシャ軍の男どもをバッサバッサと斬り倒す獅子奮迅の大暴れである。

ゲスいイロモノみたく書いてしまったが、そこには女が女を貫き通す苛烈な生き様と、命を燃やし尽くす底なしのエクスタシーが宿っている。いや、回りくどいな。エヴァグリほど野蛮でエロくてイイ女はいないと、私、断言させていただきます!

『300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』
公開中

文:村山 章