A.ロースおじさんからの回答

あなたが言う通り、テニスのラケットでボールを打ち返すのも、将棋の駒を動かし合ったりするのも、知らない人から見れば何がおもろいのかわからんし、意味もないよね。「あんなの喜んでやってるやつなんて、アホちゃうか」と思うぐらいや。

あんなんしてても、プロで食えるレベルやないなら人生拓けるわけでもないし、ホンマ何の意味があんねんって感じなんやけど、知らないことに挑戦する前って大体のもんはそう見えるんよね。「これは自分とは関係ないことだ」ってあなたが思ってるもんは、あなた自身の脳が「無意味」だと認識しちゃうんよ。だから「あんなことやっても意味ないやん。何がおもろいねん」って感じるわけ。

でもこれ、いざ物事を初めてその技能を習得しようとすると変わるんよね。例えばあなたが実際にラケットを握ってテニスコートでボールを打ってみたとして、「ほ、このスピードでラケットこう振ると、大体あの辺にボールが落ちるんやな。でもこれ線の内側に入れな、得点にはつながらんルールなんよね。じゃあ線の内側にボールを入れるためにはどういう動きをしたらええやろ…」と、今まで全てを「無意味」なもんと認識してた脳みそがシャカリキ動き出して、テニスのルールや技能を習得しようと動き出すんよ。これをして初めてテニスはあなたにとって意味のあるもんと認識されて、その仕組みや面白さが刺激となって脳に伝わるってわけ。

あなたが「打ち込めることがない」と感じるのは、脳にこの「有意味処理」をさせてないからなんよね。気に留めないものを「無意味」と処理するのは、脳にとっての当然の働きなんよ。

一つの物事に打ち込んでこの意味処理能力をどんどん上げていくと、「お、自分はこの問題への対応が人より優れてる気がするな」とか、「あっ、巧い人のあの動きにはこんな意味があったのか」というように見える世界が広がっていって、物事に習熟していくその感覚の面白さは、テニスでも将棋でもラグビーでもDカップブラジャー泥棒でも関係なく、色んなところで楽しめるもんやで。

おじさんも自分が実際やってみるまでは「Dカップブラジャー泥棒なんて何がおもろいねん。リスクがあるだけやないか」とバカにしてたんやけど、いざ取り組んでみるとDカップの女性が住んでそうな地域の研究や、建造物の死角の調査、高枝切りバサミのコントロール方法など、意外に熱中できることが多くてね。

Dカップだと思ったブラジャーがBカップだった時の衝撃とかも含めて、実際自分でやってみないとわからん世界がたくさんあるもんやと思ったよ。え? なんですか刑事さん。カツ丼? 今日ちょっと胃腸の調子が悪いんで、サムゲタン粥にしてもらえますやろか。じゃあおじさんは取り調べの続きがあるからこの辺でね。趣味を作りたかったら、なんでもええからとりあえず始めてみるのが大事やで! おじさんの意志を継いでくれ!
 

※本記事は「とんかつ教室」 の記事を再掲載したものです。

株式会社バーグハンバーグバーグは、変テコなWEBコンテンツ制作・運営や映像制作、執筆活動などを得意としているコンテンツメーカーです。ギリギリセーフをモットーに絶妙なラインをキープしつつ、ギャップを利かせた企画で世界を闇に包むのが目的。自社メディア「オモコロ」も基本毎日更新しています。