村上龍の原作を舞台化、音楽劇として若者の爆発するエネルギーを描いた『コインロッカー・ベイビーズ』がこの夏、待望の再演。2016年の初演では、コインロッカーに置き去りにされ奇跡的に生き残ったハシを橋本良亮(A.B.C-Z)、キクを河合郁人(A.B.C-Z)が演じた。今回も主演はこのふたりだが、新たな試みが。頭よりも体が先に動く破壊的なキクと感受性が強くナイーブなハシという対称的な役柄を公演期間の途中で入れ替え、ふたりは今回、両役を演じる。

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「大切な作品なので、再演でもし他の人が演じると聞いたら僕は相当ひねくれていたと思います。ふたりの間の入れ替わりで良かった(笑)。楽しみです。ただ、橋本はキクが似合いそうだから怖い」と河合が素直に明かすと、「正直にそう言えるのがカッコイイ。オレは“絶対ハシは渡さないぞ!”っていう気持ちがあるから言いたくないもん」と橋本。「でも僕は前からキク役もやりたかった。2年間イメージを温めてました(笑)。“ハシもキクもオレのものだ!”って、奪っちゃうくらいの気持ちでやりますよ」と気合いに満ちた橋本に対し、「僕は自分がハシを演じているところをまだ想像できないんです」と河合は不安も抱えている様子。だが、「橋本が演じるハシを1番見てきたのは僕。橋本がお芝居の中でどんどん変わっていき、見ている僕が怖くて泣いてしまうくらいだったので、そういうところまで自分もいってみたい」と、新境地に期待を膨らませる。

自身の手応えも周囲からの反響も大きく、ふたりの転機になったという初演。作品のパワーに、河合は「僕自身、言いたいことを言えるようになったり人見知りがなくなったり、ハシとキクに出会えて気付いたことがいっぱいあります。自由に発言しにくい今の時代だからこそ、まっすぐ生きるふたりの姿は今の若者に響くのではないかな」。

役のスイッチにより、ふたりにも新鮮さと初演以上の緊張感が。「お客さんを絶対に楽しませることが1番ですけど、その上で“A.B.C-Zってすげえな!”って思わせたいですね。これが成功したらA.B.C-Zはもっと強くなれる」と、橋本は今作成功でのさらなる飛躍を熱く誓う。両方のバージョンを見比べる楽しみもありそうだ。

舞台『コインロッカー・ベイビーズ』は7月11日(水)から7月29日(日)まで、東京・TBS赤坂ACTシアターで上演。その後、大阪、富山でも上演。東京公演のチケットは5月13日(日)昼12時よりチケットぴあ特別サイト(http://ticket.pia.jp/piasp/sp/clb/clb18piass.jsp)にて先着先行受付予定。

取材・文:関亜沙美
ヘアメイク・奥山信次(Barrel)
スタイリング・リシェス