さいとう・たかをさんのように複数ヒットを飛ばすベテラン漫画家は非常に多く、『Dr.スランプ アラレちゃん』『ドラゴンボール』の鳥山明さん(36年)、『キャッツ・アイ』『シティーハンター』の北条司さん(35年)、『うる星やつら』『犬夜叉』の高橋留美子さん(36年)、『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博さん(28年)、『YAIBA』『名探偵コナン』の青山剛昌さん(28年)などなど……超メジャーどころでさえ次々と名前が挙がってくる。

デビュー作をそのまま長期連載することも、1人の名義(さいとう・たかをさんはプロダクション方式だが)で複数のヒット作を生み出し続けることも、それぞれ一般読者には理解できないほどの努力と才能を要する偉業だろう。

 

主要少年誌にみる“ベテラン漫画家”の分布

4大週刊少年誌とも呼ばれる「週刊少年ジャンプ」「週刊少年マガジン」「週刊少年サンデー」「週刊少年チャンピオン」。どの雑誌にも“長期連載作品”があり“ベテラン作家”がいるが、それぞれ少しずつ違った個性がある。
 

新旧作家のバランスが比較的良好だな、と記者の主観で感じられるのは少年マガジン。申し分ない実績を持つ『はじめの一歩』の森川ジョージさん(31年)、『ラブひな』『魔法先生ネギま!』の赤松健さん(21年)などを主力に据えつつ、『聲の形』で話題の新鋭・大今良時さんを起用したり、他誌から実力派を連れてきて『七つの大罪』(鈴木央さん/20年)、『さよなら絶望先生』(久米田康治さん/24年)といったヒット作を誕生させている。

少年チャンピオンはややベテラン重視型かと思われ、板垣恵介さん(25年)の『グラップラー刃牙』、水島新司さん(56年)の『ドカベン』といった人気作が何度かマイナーチェンジしながら長期連載される傾向が強い。しかし新人軽視というわけでもなく、『侵略!イカ娘』『弱虫ペダル』のようなヒット作もたびたび登場している。ちなみに少年ジャンプで生まれた車田さんの『聖闘士星矢』シリーズも、現在はチャンピオンに移籍して不定期連載中だ。
 

少年サンデーは高橋留美子さん、青山剛昌さんに加え、『うしおととら』『からくりサーカス』の藤田和日郎さん(26年)、『タッチ』『クロスゲーム』のあだち充さん(46年)といったベテラン勢を重視する印象が少年チャンピオンと似ている。しかし中堅層が充実しているほか、近年では『裏サンデー』で尖った新鋭作家の発掘に力を入れているようで、全体的なバランスはとれているようだ。

反面、『金色のガッシュ』の雷句誠さん(23年)や『アラタカンガタリ~革神語~』の渡瀬悠宇さん(25年)といった現役作家陣が編集部の体質について公然と批判してニュースで報じられるなど、ややネガティブイメージを伴うこともある。