『her/世界でひとつの彼女』Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

本年度のアカデミー脚本賞を受賞した『her/世界でひとつの彼女』の特別映像が公開になった。“love in the modern age(現代の愛)”と題した15分にもおよぶ映像で、スパイク・ジョーンズ監督の仲間でもあるランス・バングズが映画を鑑賞した人々と現代の愛について考察している。

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映画は、近未来のロサンゼルスで手紙の代筆ライターをしているセオドアが最新型人工知能“サマンサ”と出会い、“声”だけのサマンサと会話し、同じ時間を過ごすなかで、“サマンサ”に恋をする過程を繊細なタッチで描いている。

ジョーンズ監督は少し風変わりな設定で、普遍的な愛の物語を描いた。完成した作品を観た多くの人々は“映画の内容”だけでなく、自身の恋愛や過去について思い返し、考え、想いをはせているという。そこで制作されたのがこのほど公開された映像“love in the modern age”だ。

CHVRCHESのボーカル、ローレン・メイベリーは「心理面でテクノロジーに依存するかどうかは、その人の愛の捉え方だと思う」と言い、心理学者のエステル・ペレルは「技術への依存が人を孤独にする説もある。でも実際はわからない。わかっているのは、技術が暮しを変えようとも人間の欲求までは変えないということ」と語る。映像では他にもミュージシャンのダン・ドナヒュー、作家のブレッド・イーストン・エリスらが映画『her』について、現代の恋愛について、人と人が別れてしまうことについてじっくりと語っている。

本作はSF的な設定や展開が巧みに盛り込まれているが、作品の根底には今も昔も変わらない“人が他者を求める気持ち”が描かれており、映画の鑑賞後にはじっくりと自身について考えたり、作品の内容について誰かと話し合う人が多いという。このほど公開された映像は、作品の観賞前に観ることも、映画を観た後に改めて楽しむこともできる内容で、長尺だが映画をより深く楽しむことができる内容になっている。

『her/世界でひとつの彼女』
6月28日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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