日本にもeスポーツを公式の部活として扱う大学がある。写真はデジタルハリウッド大学

コンピュータゲームを競技として捉える「エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)」が教育現場に進出しつつある。大きな目標は、ゲームの社会的地位を向上させることだ。

eスポーツは、2024年のパリ五輪で正式種目化を目指す動きがあるなど、世界ではめまぐるしい変化が起きている。海外では、高等学校の選択科目として採用されていたり、奨学金を出す大学があったりと、他のスポーツと同等以上の待遇が用意されている場合がある。

他方、日本の高校も動き始めている。18年3月に通信制高校のルネサンス大阪高等学校が、高校として日本で初めて「eスポーツコース」を4月にプレ開講すると発表した。ビデオカード「NVIDIA GeForce GTX 1070」搭載ゲーミングパソコンとゲーミングチェアを備えた教室や、eスポーツや語学、心理学などに関する一流の講師を揃え、生徒を20人まで迎え入れる。

ゲームをプレイするだけではなく、ゲームを通して実用レベルの英会話能力やメンタル・コミュニケ―ション、YouTube・実況といった授業を実施し、世界で活躍するeスポーツ・ゲーム業界の人材を育成していくという。想定される進路はプロゲーマーのほか、eスポーツアナリストやゲーム会社、イベント会社への就職など幅広い。

また、クラーク記念国際高等学校の秋葉原ITキャンパスは4月、ソフマップやeスポーツコミュニケーションズ合同会社と連携し、ゲーム・プログラミング専攻に「eスポーツ」の授業を開講した。授業は「ソフマップ AKIBA 2号店パソコン総合館2階」にあるeスポーツ配信スタジオ「eSports Studio AKIBA」で行う。

同キャンパスの土屋正義キャンパス長は、「コンピュータゲームが次世代スポーツの候補として自然とあがり、プロゲーマーとして、またはその周辺分野での仕事を通して生活できるようになってきている」と話す。教育にゲームを取り入れることで、世界の認識と同じように、日本でもeスポーツを将棋や囲碁に類する競技として浸透させる狙いだ。

ゲームの社会的地位の向上により市場が固定化されれば、ゲーミングPCや周辺機器市場も盛り上がるはずだ。企業にとって簡単なことではないが、3年で20億円を投資すると決定したサードウェーブのように、先を見据えた投資が必要な時期がきているのかもしれない。(BCN・南雲 亮平)

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