30歳未満の単身勤労者世帯の家事用耐久財保有率の変化

ニッセイ基礎研究所・生活研究部の久我尚子主任研究員がまとめた「ひとり暮らしの若者の家電事情」によると、ひとり暮らしの若者の間で、冷蔵庫や掃除機の保有率が低下しているという。 総務省の「親と同居の未婚者の最近の状況」によると、かつては上昇傾向にあった20歳~34歳の未婚者の親との同居率は近年は低下傾向にあり、同年代の失業率、非正規雇用者の割合も低下傾向にある。

炊飯器や掃除機は、男女の保有率が逆転

1999年~2014年にかけて、30歳未満の単身勤労者世帯の家事用耐久財の保有率をみると、男女ともに主な家電保有率は8割程度に上がっているものの、近年は、男女ともに冷蔵庫、女性では掃除機や電子レンジの保有率がわずかに低下している。また、炊飯器や掃除機では、男女の保有率の逆転が見られた。

久我氏はこれらの背景として、1人暮らし用マンションでは備え付け小型冷蔵庫の設置が増えていることや、女性の多くがフローリングの部屋に住み、使い捨ての掃除シートを利用すれば必ずしも掃除機が必要でないこと、男性の自炊の増加・女性の自炊の減少などを挙げている。

低下する男性のテレビ保有率、ケータイはほぼ全員が保有

教養娯楽用耐久財や通信機器の保有状況では、男性のPC保有率が5割弱から9割超へと大幅に上昇しており、2014年はタブレット端末を単純に足し合わせると120%を超える。

また、携帯電話の保有率は2004年以降、9割を超えており、14年はスマートフォンと従来型携帯電話の保有率を合わせると100%を超えている。一方、テレビの保有率は15%ほど低下した。

女性のPC保有率も大幅に上昇し、14年にはタブレット端末と合わせて約9割、携帯電話(スマートフォン含む)の保有率も100%を超えている。なお、テレビ保有率は依然9割超で横ばいであった。

こうした背景としては、テレビの視聴を機能的にも内容(コンテンツ)的にもPCやスマートフォンが代替できることや、若者のテレビ離れやネット志向の強まりを挙げている。