完成報告会見の模様

完成したばかりのスタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』(米林宏昌監督)を、宮崎駿監督と高畑勲監督の両名が絶賛していることがわかった。7月2日、都内で行われた完成報告会見で、プロデューサーの西村義明氏が「麻呂(米林監督の愛称)はよく頑張った。1+1を5にする男」「じじいが去ったジブリの押しも押されぬエース。祝福したい」と宮崎監督、高畑監督からそれぞれ届いたコメントを紹介すると、米林監督は「励みになります」とほっと胸をなで下ろした。

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英国の作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学を基に、海辺の村で暮す老夫婦にあずけられた少女・杏奈が、不思議な少女マーニーとの交流を重ねて、ある秘密を分かち合う姿を描く。米林監督にとっては2010年に公開された『借りぐらしのアリエッティ』以来、2本目のメガホン。舞台はイギリスから、日本の北海道に移されている。

「当時は達成感でいっぱいだったが、時間が経つうちに『こうすれば良かった』と反省点も目につくようになった。次はもう少し違うものを映画にしたいと思った」と本作を手がけるきっかけを説明する米林監督。前回は「そばにいる宮崎さんを意識してしまった」といい、「今回はあくまでお客さんを意識し、作品づくりができた。良い作品が完成したと思う」と誇らしげだった。

会見には米林監督と西村プロデューサーに加えて、本作の“Wヒロイン”を演じた高月彩良と有村架純、共演する松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、黒木瞳、主題歌を歌うプリシラ・アーンが出席し、作品の完成に喜びのコメント。高月と有村はともにジブリ作品で声優デビューを飾り「大好きなジブリ作品に参加できて、率直にすごくうれしかったです。映画が完成し、やっと夢じゃなかったと実感しました。五感が敏感になり、風や音、匂いを美しく感じられる作品」(高月)、「ジブリ作品に自分の名前が残るプレッシャーはあったが、見終わったら感動で席が立てないほど。私にとっては宝物」(有村)と語っていた。

『思い出のマーニー』
7月19日(土)から全国ロードショー

取材・文・写真:内田 涼