鴻上尚史の処女作にして小劇場の歴史をつくった名作

2014.7.10 12:00配信
鴻上尚史 鴻上尚史

鴻上尚史の処女作であり、これまで6度もの上演を重ねてきた『朝日のような夕日をつれて』。この傑作がファンの熱い声に応え、17年ぶりに上演されることが決定。演出も担う鴻上に話を訊いた。

『朝日のような夕日をつれて』 チケット情報

「その時の自分がつくりたいものを全部ぶち込んだ作品」と鴻上が言う『朝日~』は、彼が22歳で立ち上げた劇団「第三舞台」の旗揚げ作品。その後第三舞台は大人気劇団へと成長、“小劇場ブーム”を牽引していく存在となった。「自分で言うのもなんだけど、これは小劇場の歴史をつくった作品だと思っていて。“演劇とは遊ぶことなんだ”っていうのを宣言したのが小劇場運動であり、この作品。つまり“どう遊戯するか”ってことがすごく大事になってくる。そういった意味で、我々はまだ演劇で遊べているのか…。それを問いかける芝居になるんじゃないかと思う」

さらに本作は公演毎に改訂され、常に進化し続けているのも大きな特徴。「芝居自体がアップツーデートできる内容というか、その時最も先端なものを入れられる構造になっている。だから再演もしやすかったというか。この作品はおもちゃ業界と『ゴドーを待ちながら』の世界を表しているんだけど、今おもちゃ業界が生き延びているのは、スマホのゲームアプリくらい。そういう現状を、劇中の“立花トーイ”という会社も生きていくことになるんだよね」

5人のキャストのうち、第三舞台出身で、過去公演にも参加してきた大高洋夫、小須田康人は同じ役柄で出演。さらに藤井隆、伊礼彼方、玉置玲央が新メンバーとして参加する。「藤井さんは舞台経験も豊富だし、的確に演技をしつつちゃんと笑いも取れる人。伊礼は一緒にやる度、一本一本どんどんうまくなっていて。あと小劇場から勢いのある若手がひとり欲しいなということで、「柿喰う客」の玉置くん。まぁ大高と小須田は放っておいてもね(笑)、いろいろ自分たちで考えてやってくれるだろうし。そして何より作品に対してみんながリスペクトを持ってくれている。これは作品にとって一番幸せなことだと思うんだ」

熱狂的なファンも多い作品だが、鴻上は「同窓会をするつもりはない」と断言する。「大高とか小須田に20代のころの体の疾走を求めるのは無茶な話だし、そこを嘆いてもしょうがない。やっぱり『朝日~』っていうのは“今”を表す作品だから。今をこんなふうに切り取りました、遊びましたっていうのを、一緒に楽しんでくれれば嬉しいなって思うんだよね」

公演は7月31日(木)から8月24日(日)まで東京・紀伊國屋ホール、8月29日(金)から31日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、9月5日(金)から7日(日)まで福岡・西鉄ホールにて。チケット発売中。

取材・文:野上瑠美子

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