見知らぬ人と、目隠しをして食事をする――まるでミステリードラマのようなシチュエーションだが、実在するイベント「クラヤミ食堂」でのワンシーンだ。

クラヤミ食堂とは、「こどもごころ製作所」が2007年から行っている、“視覚を遮断し、自分のすべてをクラヤミと五感、ストーリーにゆだねる”という体験型のイベント。「視覚以外の感覚が鋭くなる」「普段は思い出さない記憶が蘇る」「知らない人とすぐに打ち解けられる」など、普段とは全く異なる不思議な感覚を味わうことができる。

参加者は「目を隠していたほうが心を開ける」「クラヤミはワクワクも不安も両方持っている不思議な生き物みたい」と感想を述べており、心理的にも肉体的も新発見のある体験になるようだ。 

 

じわじわと知名度を高めてきた同イベントが今夏、初めてホテル椿山荘東京(東京都文京区)で開催される。ホテル椿山荘東京は壮大な庭園を擁し、由緒ある史跡やホタルが観賞できるホテルとして知られている。都会にいながら自然を堪能できる同ホテルがクラヤミ食堂とコラボすることになった背景には、“かたちにはならないものを大切にし、特別な体験の提供を目指す”という思いがあるという。

さらに今回は夏らしく、食事中に全7話の怪談・奇譚を楽しめ、料理も物語にあわせて和洋様々なものがフルコースで提供される。小泉八雲、柳田国男などが紡いだミステリアスな伝承奇譚に触れることで、ホテル椿山荘の持つ“古き良き日本の面影”をより深く感じることができそうだ。