【サッカー】44歳・カズのフットサル挑戦が偉大すぎる件

Fリーグ北海道×府中の公式戦に、カズが北海道の一員としてデビュー。チームの勝利に貢献した。試合後のコメントから、カズの偉大さを感じてください。

1月15日の日本フットサルリーグ(Fリーグ)の試合に出ると聞いたときには本当に驚いた。言うまでもなく、サッカーとフットサルは別物である。野球とソフトボールの違いどころか、ボクシングとキックボクシングほどの違いがある。格闘技では、チャンピオンクラスのプロボクサーがK-1のリングに上がったり、K-1のキックボクサーが総合格闘技に挑戦したりしてきたが、結果は散々たるものであった。ボクサーがK-1のリングでローキックをバンバン蹴られ成す術もなくKOされたり、K-1ファイターが総合格闘技のリングであっさりタックルで倒され秒殺されたりと、同じリングで戦う格闘技ながらジャンルの高く厚い壁の前にあっさり跳ね返されてきた。

1月15日のFリーグ・北海道×府中の試合で、初めてフットサルを見たという人も多いだろう。5年目のシーズンを迎えるFリーグだが、全国生中継をされたのは、今回の試合が初めて。改めてキング・カズの偉大さを知らしめることになった。

日刊スポーツ東京本社版1月16日付1面


2月26日に45歳となる三浦知良(J2横浜FC)が、1月15日のFリーグの試合に出ると聞いたときには本当に驚いた。言うまでもなく、サッカーとフットサルは別物である。野球とソフトボールの違いどころか、ボクシングとキックボクシングほどの違いがある。格闘技では、チャンピオンクラスのプロボクサーがK-1のリングに上がったり、K-1のキックボクサーが総合格闘技に挑戦したりしてきたが、結果は散々たるものであった。ボクサーがK-1のリングでローキックをバンバン蹴られ成す術もなくKOされたり、K-1ファイターが総合格闘技のリングであっさりタックルで倒され秒殺されたりと、同じリングで戦う格闘技ながらジャンルの高く厚い壁の前にあっさり跳ね返されてきた。

サッカー界で生ける伝説の地位を確立したカズが、フットサルで恥をかくことは可能性は決して低くない。12月の記者会見で、カズは不安を語るとともに、新たな挑戦を喜んだ。
「Fリーグは非常に展開が早くてスピーディーでアジリティーがきいているなという感じ。その中で自分が入ってどのくらい出来るかは楽しみな面、正直言って不安も少しあります。けど、しっかりとした技術が自分にもあると思うので、それをフットサルに活かして、また自分がやっていた経験を思い起こして挑戦してみたい」

カズはしっかり前向きだ。

「Fリーグが始まる時、とても興味がありましたし、フットサルをブラジルでもやっていたんですけど、そういう意味でも自分も参加できるなら参加したいと思っていた。ただどうしてもJリーグのスケジュールがあり、いざやるとなると本当にコンディション的に難しいこともありました。ただ、これから先Jリーグの選手が参戦していくというのはなかなか大変なこともあると思うんですけど、やる気になれば好きであれば多分できると思うので、そういう意味ではこれをきっかけに広がっていけばいいなと思っています」

記者会見の第一声で、北海道の印象を問われ「まず、食べ物が美味しい」とユーモアを交えたが、もちろん、遊び半分でフットサルに挑戦するわけではない。

「フットサルを専門にやっている人からしてみれば、やっぱり遊びではやって欲しくないと思っていると思うし、失礼のないように僕もフットサルというものを理解して教わって、ちゃんとしたコンディションで挑みたい」とキッパリ。

現役のJリーガーとして、「新たにフットサルをやることによって、自分のサッカーにもまた何か新しい発見があるんじゃないかなと思う」と、貪欲な姿勢を見せる。

カズの挑戦は、大歓迎された。

Fリーグ・大仁CEOが「カズ選手にとってこれからの選手活動というものは非常に貴重な時間の中、Fリーグの活動を入れていただき、我々は大変ありがたく思います」と語れば、エスポラーダ北海道・小野寺監督も「私にとっても青春時代のあこがれの方と共に戦える日を本当に楽しみにしています」と期待を口にした。

そして、カズは北海道のファンにも大歓迎された。5,368枚のチケットは即日完売し、大観衆が北海きたえーるでカズを迎えた。

キングは全力のプレーでファンに応える。試合開始早々からシュートを次々と放ち、会場を沸かした。代名詞といえるまたぎフェイントも見せ付ける。クライマックスは後半の絶好機での左足のシュート。GKの攻守に阻まれたが、「キングここにあり」をアピールした。

監督が戦前に約束した、「三浦選手が加入するただの記念試合ということではなくて、勝利を目指すということをチームのみんなと誓ってプレーしたいと思っております」との言葉通り、3-2で北海道が勝利した。試合後の風景がよかった。選手、監督らがひとつの勝利に感情を爆発させたのだ。小野寺監督をはじめ、涙を見せる者も少なくない。カズは監督に「遠慮しないで勝つために指示を出してください」と要望し、チームメイトには「カズと呼んでくれ」と話した。Fリーグに、そして下位に低迷する北海道のために一肌脱いでくれたカズに対して、北海道の面々は「恥をかかすわけにはいかない」との一心で戦ったのだ。こんなステキな話は競技の枠を超え、しかもトップカテゴリーのリーグではなかなかない。そして、初めてフットサルを見た人たちには、スピーディでテクニカルな魅力を感じた人も多いだろう。

そして、カズが属した北海道は10チーム中9位である。トップにはV5へ向けて死角ナシの名古屋が立っている。名古屋の優勝独占を阻むために2位・大阪は奮闘し、中位ながら湘南も攻撃的なスタイルを貫いている。カズが一試合だけ登場した北海道以外にも、フットサルの魅力は詰まっている。


2011年までに名古屋に在籍したリカルジーニョのテクを


「フットサルはほとんど未経験で不安だったが、監督、選手が盛り上げてくれた。勝つことができてよかった」と満足した表情を見せたカズは、「もっとうまくなって帰ってきたい」と誓った。44歳になっても、永遠のサッカー少年の顔を持っているカズ、やはりこの人は偉大だ。 

あおやま・おりま 1994年の中部支局入りから、ぴあひと筋の編集人生。その大半はスポーツを担当する。元旦のサッカー天皇杯決勝から大晦日の格闘技まで、「365日いつ何時いかなる現場へも行く」が信条だったが、ここ最近は「現場はぼちぼち」。趣味は読書とスーパー銭湯通いと深酒。映画のマイベストはスカーフェイス、小説のマイベストはプリズンホテルと嗜好はかなり偏っている。

いま人気の動画

     

人気記事ランキング