ドコモに続いて、ソフトバンクモバイルは、「スマ放題」として、国内音声通話無料の基本プラン(音声通話プラン)と新たなデータ通信プランを組み合わせた新料金プランを導入した。KDDI(au)も、8月13日から新料金プラン「カケホとデジラ」を開始する。正式開始に先立ち、「スマ放題」と同じ7月1日から、通話定額サービスを先行して体験できるキャンペーンを実施している。

新料金プランの基本的な料金体系・仕組みは、3社ほぼ同じ。定額の基本使用料だけで国内音声通話が「かけ放題」になり、データ通信に関しては、自分一人または家族全員の利用状況に応じて、超過すると速度制限がかかる月間データ容量の上限が異なる複数のプランから、最適なものを選ぶことになる。ドコモとソフトバンクは、3G携帯電話向けを除いて、今年8月末で既存プランの新規申込み受付を終了。今後は、新料金プランが標準になる。

音声通話プランの料金は3社とも同じだが、データ通信プランの料金と家族間での「シェア」のやり方、新料金プランの提供に合わせて新たに導入する長期継続利用者向け割引・優遇の内容は異なっている。今回は、「料金」とともに、選んだデータ通信プランや継続利用期間によって変わる「割引・優遇」について比較した。

※本記事の価格表記はすべて税抜です。

●基本料金だけで通話し放題 データ通信は利用状況にあわせて選択

ドコモによると、6月1日に開始した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」は、発表時点から大きな反響があったという。ソフトバンクは、このプランを踏襲し、ドコモ同様、家族間でデータ容量を分け合える「家族データシェア」を導入しつつ、単身者でもデータ容量をムダにしないよう、その月に余ったデータ容量を翌月に100MB単位で繰り越しできる「データくりこし」を用意。これまでなかった独自の割引サービスを導入し、差別化を図った。

最後に発表したauは、他社の「データシェア」に相当するサービスとして、家族間でデータ容量を贈り合える独自の「データギフト」を導入。新料金プランの売りの一つとして強調しながら、開始は今年12月と、だいぶ先だ。その間のフォローとして、8~11月の3か月間、毎月のデータ容量を各プランで一律20%増量する「auからのデータギフトキャンペーン」を実施するが、見切り発車という印象は否めない。

データ通信プランは、ドコモとソフトバンクは2GBから最大30GBまで、auは2GBから最大13GBまでの6種類。基本使用料(音声通話プラン)と、3社共通の2/5/10GBプランのデータ通信プランの定額料、インターネット接続料の合計を比較すると、2GBプランと5GBプランは3社とも同じだが、ヘビーユーザー向けの10GBプランはドコモだけが高い。auの10GB・月額8000円という料金設定に対抗して、ソフトバンクが8月1日から通常9500円の10GBプランの定額料をずっと8000円に割引く「10GBがおトクキャンペーン」を実施し、実質的に料金を引き下げたからだ。ただし、「10GBがおトクキャンペーン」と「家族データシェア」は併用できず、データ容量を家族間で分け合う場合は、ドコモと同額となる。

●「家族間でのデータシェア」は本当に便利? シェアプラン導入の前に一考を

ドコモとソフトバンクの違いは、ソフトバンクだけが「データくりこし」(2GBプラン、「家族データシェア」利用時は対象外)と、回線ごとに利用料金から最大2年間、300~3000円割引く「家族おトク割」(8月開始)という割引サービスがあること。「家族おトク割」は、容量の大きいプラン、かつ家族の人数(回線数)が多いほど割引額が増える。

家族で2回線以上契約していれば、「家族おトク割」の適用によって、通常よりも安くなる。さらに、うっかり使いすぎて上限を超過してしまった場合でも、独自の「データくりこし」によって、前月の余りで当月の超過分を補完できるので安心だ。新料金プランでは、定額制とはいっても、1か月あたりのデータ通信量の上限を意識して使わなければならず、上限を超過すると、追加で超過料金を支払わない限り、当月末(請求月末)まで通信速度が送受信時最大128kbpsに制限されてしまう。「安心して使える」「データ容量をムダにしない」という点で、ソフトバンクの「データくりこし」の心理的・金銭的なメリットは、意外に大きいといえるだろう。

ドコモ・ソフトバンクと、auの違いは、データ通信プランの容量の区分が異なることと、auだけ、家族間でデータ容量をシェアできないが、代わりに「ギフト」として他の家族にデータ容量をプレゼントできること。また、データ容量の上限を超過した場合に、他社は1GB単位だが、auは0.5GB単位でデータ容量を追加購入することができる。ただし、単価は1GBの場合よりやや割高だ。

一見、合理的にみえる「家族間でのデータシェア」という仕組みに対して、「家族内での争いのもとになるのでは」と、危惧する声が出ている。例えば、夫婦と子どもの3人家族のうち、子どもがLTE接続時に大量の動画を見たために上限を超えてしまい、通信速度が制限されてしまう、といったケースが考えられる。親は、子どもに対して、使い過ぎを注意するが、これまで自由に使っていた子どもはうっとうしく感じるだろう。家族に利用状況を把握されることを嫌がるかもしれない。

ソフトバンクは、この点に配慮して、「家族おトク割」で家族ユーザーを優遇しつつ、これまで同様、個々にプランを選ぶようにしたのではないだろうか。これまで同様、家族でキャリアを揃えれば安くなり、通常よりおトクだとアピールしている。さらに、「データくりこし」もあるため、毎月上限ギリギリでなければ、少しくらい使いすぎても速度規制はかからず安心だ。

auはより明確に、他社との違いとして、家族ではなく、一人ひとりに合ったプランを選ぶことができるようにしたと訴えている。ドコモが新料金プランで掲げた「パケあえる」というコンセプトは、実情には即していないのかもしれない。

●ソフトバンクは3年目、ドコモとauは6年目から長期継続利用者を優遇

ここからは、契約したデータ通信プランや継続利用期間によって変わる「割引・優遇」に関して、各キャリアの違いをみていこう。

ドコモは、継続利用期間5年以上(6年目以降)の場合、データ通信プランの種類に応じて、パケットパック(データ通信プラン)の月額料金から、毎月、300~2000円割引く「ドコモずっと割」を提供する。例えば、2GBの「データSパック」の場合、継続利用期間15年以上(16年目以降)なら、「ずっとドコモ割」の適用によって通常より600円安くなる。10GBの「シェアパック10」以上だと、6年目以降から割引が適用され、利用年数が長いほど割引額が多くなる仕組みだ。

ソフトバンクモバイルは、独自の「データくりこし」「家族おトク割」に加え、「長期継続ボーナス」として、利用年数に応じてポイントサービス「Tポイント」の付与率をアップする予定(開始時期未定)。3~10年目は2倍、11年目以降は5倍となる。料金からの割引ではないとはいえ、3年目から優遇が適用されるので、ドコモ、auよりおトクだ。

auは、「長期優待データギフト」として、利用年数6年目以上のユーザーを対象に、データ通信プランの種類と利用年数に応じ、3か月に一度、データ容量を増量する予定(開始時期未定)。2GBや3GBといった小容量のプランを選んだユーザーにとってはうれしい特典だ。

●キャリアの推奨は5GB以上 割引やキャンペーンも考慮してプランを選ぼう

ソフトバンクモバイルは、iPhone、SoftBankスマートフォンで5GB以上の「データ定額パック」を申し込むと、最大13か月間、データ容量を2GB増量する「スマホデータ増量キャンペーン」を8月31日まで実施している。iPhoneなら、最安の2GBプランでも、最大13か月間、データ容量を1GB増量する「iPhoneデータ増量キャンペーン」が適用され、当面は毎月3GB利用できる。ドコモとauも、iPhone向けに同じく最大13か月間、データ容量を1GB増量するキャンペーンを実施している。

データ通信プランの最低容量は2GB。しかし、ドコモの「ずっとドコモ割」の割引額や、ソフトバンクの「家族おトク割」「データくりこし」などの適用条件をみると、キャリアの推奨プランは5GB以上のプランのようだ。1GBあたりの単価は各キャリアとも容量の大きいプランほど安く、2GB、3GB(au)のプランは、あまりデータ通信を利用しない人、少しでも通信費を抑えたい人向けと捉えたほうがいいだろう。

従来プランと比較すると、新料金プランは、利用状況によって「値上げ」にも「値下げ」にもなる。しかし、携帯電話本来の役目である”通話”を利用しやすくする「国内音声通話無料」は、金額に見合う価値はある。一概に値上げと決めつけず、キャリアのショップで相談するなどして、最適なプランを探そう。