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 今週は、CGの発達によって映画化が可能になった“動物絡み”の2作を紹介する。まずは、ドウェイン・ジョンソンが、巨獣たちと互角に渡り合う!?『ランペイジ 巨獣大乱闘』から。

 遺伝子操作の実験の失敗によって、ゴリラとオオカミとワニが巨大化かつ凶暴化する。シカゴを舞台に、大乱闘を始めた“巨獣たち”に、元特殊工作員で今は動物学者となったオコイエ(ジョンソン)が立ち向かうというはちゃめちゃな設定。「ランペイジ」とは暴れ回ることだ。

 CGによる特撮を前面に押し出した“超絶映画”だが、もともとがアーケードゲームだったこともあり、アトラクション的な要素が強い。街中での巨獣同士の闘いなど、日本の怪獣映画を思わせるところもある。

 とはいえ、本作は、やはり元プロレスラーのザ・ロックことジョンソンありきの映画には違いない。例えば、ジャングルのシーンでは同じく彼が主演した公開中の『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』を思い出し、ヘリコプターを操縦するシーンでは『カリフォルニア・ダウン』(15)を思い出すからだ。

 それにしても、巨獣たちと等身大で互角に渡り合ってしまうジョンソンは、いくらなんでも…とは思いつつも、最後は「まあ、彼の映画に理屈は要らないか」と妙に納得させられてしまう。これもまたお決まりのパターン。このように、何も考えずに楽しめるところが、ジョンソン主演映画の魅力なのだ。

 もう一本は、1902年の初出版以来、世界中で親しまれているビアトリクス・ポター原作の絵本を初めて実写映画化した『ピーターラビット』だ。

 舞台はイギリスの湖水地方。いたずら好きなウサギのピーターたちと、ビア(ローズ・バーン)が暮らす家の隣に、気難しいマグレガー(ドーナル・グリーソン)が引っ越してきた。彼とビアが“いい雰囲気”になる中、嫉妬したピーターは、マグレガーに対してさまざまないたずらを仕掛ける。マグレガーも反撃し、闘いはエスカレートしていくが…。

 アメリカ人監督のウィル・グラックは、ピーターを“いたずらが過ぎるウサギ”に設定し直して、映画全体を英国流のブラックでシニカルな笑いで包んだ。それに加えて、ピーターと闘いを繰り広げるマグレガーが、『ホーム・アローン』(90)でマコーレー・カルキン少年にやられまくったジョー・ペシとダニエル・スターンに重なって見えてくるような、アメリカンコメディーの要素も入れ込んだ。このあたり、原作のイメージを大切にする人は、いささか面食らうかもしれない。

 ところで、グラック監督は実写とCGの合体について「この映画は基本的には実写映画のつもりで撮った。アニメーションのスタイルは取っていない。それは、人間の実写とウサギや他の動物を組み合わせた後で、CGを使っていることを観客が忘れてしまうようにしたかったから」と語る。

 確かにCGの発達は、映画化不可能とされた題材の映画化を可能にし、映画製作の幅を広げた。この2作もCGありきの映画には違いないが、もはやCGの使用は映画の中でこなれ、“ごく普通のこと”になった気もする。(田中雄二)