村上さん「食事に関しては、最近のホテルは部屋に小さなキッチンがあったり、フロントで簡単な調理器具を貸りられるところも。手料理が恋しい時は、私も活用していますよ」

食事の面での心配はなさそうですね。では、プライバシーについては?

村上さん「部屋に入ってほしくない時は、ドアに『Do not disturb(入らないでください)』の札をかけておけばいいんです。また、近ごろは環境保全の取り組みの一環として、リネン類の毎日の交換を希望しない人のために『エコカード』を導入するホテルも増えています」

泊まる側のニーズにとことん寄り添ってくれるので、我慢をすることは少なそうですね。そして、ロングステイやリピーターならではのメリットとは、ズバリ何でしょうか?

村上さん「スタッフと顔見知りになれることですね。自分の趣味嗜好を覚えてもらえば、より好みに合ったサービスが受けられるようにもなりますよ。そういった意味でも、転々といろんなホテルに泊まるより、まずは一つのホテルにお金をかけて、繰り返し利用してみるのがオススメです」

ここまでくれば、ロングステイの上級者といえるでしょう。このように「生活の場」としてのホテルですが、時代の流れに沿って変貌を遂げつつあると村上さんは言います。

村上さん「日本は少子高齢化が進んでいるので、特に年配の方に向けて、家具や家電付きのアパートメント寄りのホテルが増えそうです。災害を想定した耐震構造や、医療施設を併設したホテルの需要も高まるでしょう。また、ライフスタイルの多様化によって、生活のコアタイムも人それぞれになってきているので、24時間対応のサービスもメジャーになっていくかもしれませんね」

 

上手なホテルの選び方

ちょっとホテル暮らしに興味が出てきましたか? それでは、もしもホテル暮らしをする時は、何を基準にしてホテルを選べばいいのでしょうか? せっかくロングステイするなら、少しでもいいホテルを選びたいですよね。

村上さん「ホテルを評価する基準は、ハードウェア(施設)・ソフトウェア(サービス内容)・ヒューマンウェア(接客)の3つ。中でも泊まる側の気分を左右するヒューマンウェア、すなわちスタッフの質というのは特に重要ですね」

村上さん自身、フランス滞在中に体調を崩した時、現地のホテルシェフが見よう見まねでお粥を作ってくれて、その心遣いに感激した経験があるそう。

村上さん「あとは個人の事情によって、金額や部屋の設備、立地など、好みに合わせて選ぶことです。ゆっくりしたい時は静かな場所にあるホテル、寂しがりやの人は繁華街にあるホテル、など、自分の状況に合ったホテルを見極めるのがポイントですよ」

例えば、放っておいてほしい気分の時には、セルフサービスのビジネスホテルが正解だそうです。さまざまなタイプのホテルがありますが、それをうまく選択・利用できるかどうかは自分次第、ということなんですね。