<地域No.1店舗の売れる秘訣・ノジマ権太坂店>戸塚の借りを保土ケ谷で返す 横浜市中部のシェアを拡大する戦略店舗

2014.7.16 12:11配信

神奈川県を本拠地とするノジマが、お膝元の横浜市内で攻めきれていない地域がある。市中部の保土ケ谷区だ。かつて、隣接する戸塚区にノジマ戸塚店を出店し、戸塚区と保土ケ谷区でのシェア拡大を試みたが、競合店の勢いに飲まれて2012年8月に撤退。それでも、新規客獲得のために保土ケ谷区での再チャレンジを決断したノジマは、2月8日、戦略的な店舗としてノジマ権太坂店をオープンした。(取材・文/佐相彰彦)

ノジマ権太坂店

店舗データ

住所 神奈川県横浜市保土ケ谷区権太坂3-1-3

オープン日 2014年2月8日

売り場面積 約2000m2

従業員数 約35人

●人口流入で活気づく地域 1階がスーパーの複合施設に出店

人口20万の横浜市保土ケ谷区は、相模鉄道本線の快速が停車する星川駅、JRの横須賀線・湘南新宿ラインが停まる保土ケ谷駅などの鉄道、首都高速神奈川3号狩場線や横浜新道、横浜横須賀道路、国道1号などの道路網が整い、交通の便がいい。幹線道路沿いには大型店舗が建ち並び、スーパーや公園も多く、住むのに適した条件が揃っている。最近は、小さな子どもがいる30~40代の家族が多くなっている地域だ。

人口流入が多いことから、家電量販店にとっては新たな顧客開拓ができる地域ではある。そこに虎視眈々と出店を狙っていたのが、神奈川県を本拠地とするノジマだ。ノジマは、以前、保土ケ谷区に隣接する戸塚区にノジマ戸塚店を出店していた。戸塚区の住民だけでなく保土ケ谷区の住民もお客様として獲得しようとしたが、近くに出店していたヤマダ電機のテックランド戸塚店、JR東戸塚駅近くのテックランド東戸塚店との激しい競争に敗れ、2012年8月に閉店。現在、戸塚区ではノジマモバイルダイエー戸塚店、ノジマモバイルトツカーナ戸塚店という携帯電話・スマートフォンの専門店が残るだけだ。

このモバイル専門店によって、戸塚区ではモバイルユーザーをお客様として獲得したが、ノジマ戸塚店で確保していた固定客は、ほかの家電量販店に流れてしまった。ノジマはこれを取り戻すために、横浜市中部での再出店を模索。保土ケ谷区のコジマNEW権太坂スクエアが昨年12月に閉店した際に、居抜きのかたちでノジマ権太坂店を出店した。場所は、国道1号権太坂上交差点にある複合施設、権太坂スクエア内の2階。1階がスーパーのサミット権太坂スクエア店で、お客様が気軽に来店するには絶好の立地だ。

●大雪で厳しい船出 課題解決を成長につなげる

オープン日の2月8日。あいにくの大雪で、お客様はほとんど来店しなかった。2月中旬に再度オープンセールを実施したが、このときも前日に降った雪の影響で、お客様は予定していた数に達しなかった。原尊店長は、「厳しい船出になった」と振り返る。しかし、その後は徐々に近隣住民を中心に来店客は増えていった。「消費増税前に大型商品や消耗品などを買っておこうというお客様が中心だった」という。

予想に反する厳しい立ち上がりに、原店長は「売上目標には到底達していない」と打ち明けながら、その打開策として「浮上してきた課題を解決する」という決意を固めている。その課題とは、ノジマのブランドが浸透していないことだ。昨年末までコジマの店舗だったことから、いまだにコジマだと認識しているお客様がいる。ノジマの店舗であることを定着させるために、とくに力を入れているのは、お客様との活発なコミュニケーション。「接客しながら、どんな小さなご要望でも聞き出すようにしている」という。

もう一つの課題が、「この地域ならでの商品を揃えること」。お客様から要望として上がってきた商品の一つにドアホンがあった。オープン時はまったく取り扱っていなかった商品だ。「新築住宅が増えているからといって、古くからお住まいの方もいらっしゃる」(原店長)ことに気づいて、ドアホンの取り扱いを開始。「今では、売れ筋商品の一つになっている」と自信をみせる。ほかにも、「年配の方から『デジタルカメラで撮影した孫の写真を飾りたい』という要望があるので、デジタルフォトフレームの販売を検討している」そうだ。

外部要因としての課題は、大容量の大型冷蔵庫を必要とするお客様が少ないことだ。商圏内の新築住宅は、キッチンに大型冷蔵庫が入らない家が少なくないことから、「中・小型モデルの品揃えを充実させている」という。

他店との競争で原店長が気にしているのは、売り場面積だ。ノジマ権太坂店の売り場面積は約2000m2で、家電量販店のなかでは小型店に位置づけられる。「競合店は、当店の2~3倍は確実にある。品揃えでは確実に負ける」。この課題を解決するために採った対策が、エアコンの品揃えを充実させることだった。エアコンは、壁一面に展示することができる。原店長は、「競合店に負けないよう豊富に揃えた」と胸を張る。

オープンから半年が経過しようとしている今、課題を一つひとつ解決しているノジマ権太坂店。原店長は、「必ず成長させる」と意欲を燃やしている。

●店長が語る人気の理由――原尊 店長

アルバイトで現場のスタッフ業務に携わり、3年ほど前に正社員に抜擢された。そこから異例のスピード出世でノジマ湘南台の店長に就任。実績をつくり、ノジマ権太坂店の立ち上げを任された。権太坂店は、入社2~3年目の若いスタッフが多く、「まだまだ荒削りの人材が多い」と苦笑するが、店の成長を強く意識するスタッフばかりだ。まだ30歳前の店長が繰り出す課題解決の手法を、一つひとつ、力強くこなしている。

ノジマにとって、権太坂店の出店は戸塚店閉店からの再起の意味がある。「この店を成長軌道に乗せ、その成功事例を横展開して、保土ケ谷区や戸塚区でのシェア拡大に寄与する」。これが原店長の構想だ。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年7月7日付 vol.1537より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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