浅野忠信

俳優の浅野忠信が15日、東京・新宿ピカデリーで行われた主演作『私の男』の上映後ティーチインに共演した二階堂ふみ、熊切和嘉監督とともに出席した。第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀作品賞と最優秀男優賞をダブル受賞した本作。日本人として31年ぶりに同賞を受賞した浅野は、「2週間ほど経ちましたが、いまもお祝いのコメントやお花をいただき、自分の中で興奮冷めやらずという心境です」と駆けつけたファンに、銀色に輝くトロフィーを披露した。

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「賞はひとつの形でしかないが、受賞後、自分のツイッターに『観てみようと思う』『観ました』といったコメントをいただき、作品が広がっているという事実はやはり嬉しい」と浅野。また、日本作品では『生きたい』(新藤兼人監督)以来15年ぶりとなる最優秀作品賞を獲得した熊切監督は「恐れ多い気持ちですが、総合賞として受け止めている。どうしても形にしなければならなかった作品で、強い思いをこめた」と感無量の面持ちだった。

原作は第138回直木賞を受賞した桜庭一樹のベストセラー小説。流氷がやってくる北海道と東京を舞台に、自然災害で孤児になってしまった少女・花(二階堂)と、彼女を養女として引き取った男・淳悟(浅野)の愛を、長い年月と移りゆく季節の中で描きだす。

二階堂も本作の演技が高く評価され、ニューヨーク・アジア映画祭で将来有望な若手俳優に贈られるライジング・スター賞を受賞したばかり。「スターになれるように頑張りたい(笑)」と照れ笑いを見せ、「賞はもちろん、海外の皆さんにも見てもらい、現地での反応や意見を直接聞けるのが嬉しかったです。ここまで映画に深く関われるのは幸せなこと」と喜びを噛みしめていた。

『私の男』
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取材・文・写真:内田 涼