不要なスマホはシェアする時代に?

何度かスマートフォンを置き忘れて帰ってしまったことがある。一度は電車内に置き忘れ、他のiOS端末の「iPhoneを探す」機能で追跡し、移動が止まった地点の駅名を確認して忘れ物センターに問い合わせ、翌朝、慌てて取りに行った。 内閣府の調査によると、携帯電話の平均買い替え年数は4年強。本体だけで10万円近い価格は、たとえ4年に一度でも負担が大きい、高すぎるという声が強い。しかし、趣味のアイテムではなく、電話、カメラ、コミュニケーションなど、さまざまな要素が詰め込まれた「生活必需品」として考えると、むしろ、メーカーの企業努力が感じられる価格設定ではないだろうか。少しでも値づけが高いと売れ行きが減速する過当競争だったからこそ、従来型携帯電話からスマホにシフトした際、撤退する企業が相次いだ。日本ではiPhoneのシェアが高いため、いまなお、水面下ではギリギリではないかと推測される。

スマホと生活の密着度が増し、SIMフリー端末や中古端末が以前より買いやすくなった今、画面割れなどの「故障」や「紛失」「置き忘れ」などの対策として、常に2台以上、正常に動作するスマホを保有し、クラウドサービスなどを活用してデータやアプリを同期させるか、カメラ用/通話用、仕事用/個人用など、用途によってそれぞれを使い分ける「2台持ち」をおすすめしたい。

確かに端末代・回線料金は2台分必要になるが、不要なオプションサービスを解約する、店舗独自のキャンペーンや限定クーポンを利用する、貯まっているポイントで支払うなど、買い方・契約の仕方を工夫すれば、だいぶ抑えることができる。スマホ2台ではなく、一方の端末は、より大きな画面のタブレット端末でもいいだろう。

最も手軽で、コスト負担がない「2台持ち」を実現する方法は、機種変更する際に、今まで使っていた端末を下取りに出さず、そのまま予備機にすること。手持ちの端末が3台以上に増える時は下取りを利用し、常に2台以上の状態をキープすれば万が一の故障時や紛失時も安心だ。

不要なスマホはシェアする時代に?

今年4月、iPhone出張修理を全国で展開するあいりぺは、業界初の試みとなる、個人、法人問わず、使っていない携帯端末の「シェア」や「レンタル」ができるプラットフォームサービス「あいりぺレンタル」を開始した。

「あいりぺレンタル」は、iPhone、Androidスマホ、タブレット端末、従来型携帯電話(ガラケー)など、不用な携帯電話を貸し出すと、手数料を得ることができ、利用者によるレンタル終了時にはその端末を売ることもできる。自宅に眠る携帯端末を有効活用し、中古売却のハードルを下げる試みといえるだろう。

スマホ端末の「シェア」は1か月単位で可能で、貸出者にはレンタル代金の30%が銀行振込またはAmazonギフトコードで支払われる。なお、個人情報を含むデータ消去、レンタル時に発生した故障箇所の修理・メンテナンス、消毒クリーニングなどは、あいりぺが責任を持って行うそうだ。メインは買い取りで、「シェア」は、そのきっかけ。レンタルサービスは、法人から個人まで、幅広い利用を想定しているようだ。

税別のレンタル料金は「iPhone 5s」の場合、1週間が1980円、1か月が3980円。つまり、貸出者には、1か月あたり1194円、入金されることになる。こうして数字として可視化すると、使わないまま自宅で眠らせている状況は大きな損失であり、せめて予備として積極的にメンテナンスしたほうがいいとわかる。予備機をキープした上で、月額800円程度のキャリアが提供する端末補償サービスを解約するのも手だ。

端末代や通信代が「高い」と批判する前に、節約や突然の支出を防ぐ自衛策が求められる。スマホ好き・ガジェット好きの「2台持ち/複数台持ち」は、好奇心や興味だけではなく、実は金銭的な打算も働いている。(BCN・嵯峨野 芙美)