ドコモのオンラインショップではZTE製品の入荷が未定に

大手通信機器メーカー・中国ZTEの事業停止が続いている。米商務省による制裁措置で米国製部材の調達が不可能になったためだが、一部報道ではZTEの事業再開に向け米中が大筋合意したと伝えられている。トランプ大統領が打開策の案として、ZTEに対する新たな制裁金と経営陣の入れ替えを提示したためだが、一方で、この段階での幕引きは安全保障上問題を引き起こすとして、制裁緩和に反対する動きも活発化している。 米ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国時間5月22日朝(日本時間同日夜)のニュースで、「米中はZTEの事業存続に向けた計画を策定した」と報じた。最大13億ドル(1400億円以上)の制裁金の支払い、経営陣の入れ替え、米国製部材の購入拡大などを条件に、米国企業とZTEとの取引を禁じた制裁措置を解除するというものだ。

トランプ大統領はホワイトハウスでの記者会見で、「ZTEは電話機の製造のため、大量の設備や部品を購入している。彼らはそれらの部材を米国企業から調達している」と話し、ZTEの事業を止めることは米国企業にも多大な悪影響を与えることを指摘している。

一方トランプ大統領は、ZTEに関して中国との間で具体的な合意事項はないとも述べており、米ニューヨーク・タイムズはこれを、「トランプ大統領、ZTEに関する中国との合意を否定」の見出しで報じており、状況の見方には各紙で温度差がある。同紙は記事中で、タカ派の外交政策で知られるマルコ・ルビオ上院議員(共和党)のツイートを引用。ルビオ氏は、「ZTEは、制裁金の支払いと、(イランへの製品輸出に関わっていた)従業員の懲戒に合意していた。しかし実際にはそれに反し、従業員にボーナスを与えていた。今度もまた同じように“制裁金&懲戒”の合意を結ぶのか?」と投稿し、ZTEへの警戒を解くべきではないとしている。

制裁緩和への反対意見は、共和党、民主党の双方からあがっている。ZTEへの制裁措置は、同社が米国の技術を含む製品を、米国と敵対するイランへ不法に輸出したという、安全保障上の問題だったからだ。トランプ大統領の発言を追うと、中国との通商交渉を有利に進めるための材料としてZTEの問題を扱っているようにもみえるが、このような形で取引に応じてしまうと、国家の安全がビジネスの論理によって揺らぎかねないという懸念がある。

報道によると、米商務省・ロス長官が今月中にも中国を訪問する予定だといい、その場で何らかの結論が出されるとみられる。

ZTEは日本でも携帯電話会社に製品を納入していたが、NTTドコモのオンラインショップでは2画面スマートフォン「M Z-01K」が品切れで購入できない状態となっている。入荷予定も未定となっており、ZTEからの製品供給が止まっている模様。(BCN・日高 彰)