NHK放送センターではフルHD/4K両対応のスタジオが稼働開始している

  放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は5月17日、本放送開始が約半年後に迫った「新4K8K衛星放送」に関して、報道関係者を対象にした視察会を開催し、NHKなどの放送関連企業・団体が4K/8K対応の放送設備などを公開した。

今年12月1日に始まる新4K8K衛星放送は、現在のフルHD(1920×1080ピクセル)に対し、4倍(4K放送・3840×2160ピクセル)または16倍(8K放送・7680×4320ピクセル)の解像度をもつ高画質テレビ放送。4K放送はすでにCSの有料サービス「スカパー!」で開始されているが、新4K8Kは無料チャンネルを中心に構成されており、現在のBSデジタル放送のアップグレード版に相当する(現在のBSデジタル放送は並行して継続)。また、8K放送は当面NHKのみが実施する。

NHKは2016年8月からBSで試験放送を行っており(一般家庭では視聴不可)、この日公開された東京・渋谷のNHK放送センターでも、4K/8K本放送への準備が万端であることが強調された。

従来設備の4K対応化が進められており、一部のスタジオでは従来のフルHDと4Kの両方を同一の機材で取り扱えるよう環境が整えられている。編集済みの4K番組の送出だけでなく、通信回線経由で受けた4K素材の送出や、フルHDへの変換も可能で、今年2月の平昌五輪でもフルHD/4K両対応スタジオが活用されたという。

また、4K放送では解像度だけでなく、HDRへの対応で色や明るさの表現力も高まっている。この特性を活用した番組として、NHKではドキュメンタリー「人体」の派生シリーズを制作している。過去に35mmフィルムで撮影された顕微鏡映像を4Kで再スキャンし、色補正を施すことで、従来はフォーマットの制約で「見えているのに放送波で表現できなかった」細菌の動きなども見せられるようになったという。12月以降に放映する。

8Kでは、16年からルーブル美術館と国際共同制作している同館収蔵作品のほか、宝塚歌劇、高解像度デジタルカメラで連続撮影した静止画をコマ送りにした「タイムラプス」形式の風景映像などを放送する。また、6月から7月にかけて、サッカーW杯ロシア大会の8Kパブリックビューイングを東京・大阪で開催し、本放送開始前に8K放送の認知拡大を図る。

8K放送では音声も新フォーマットの「22.2ch」で送出され、従来のサラウンド技術で表現されていた前後左右に加え、異なる高さに音を定位させることができる。NHKのプロデューサーや音響技術者によると、スタジアムやコンサートホールで収録した素材では、声援が上から降り注ぐ様子なども表現できるため、より高い臨場感を得られるという。一般家庭に22.2chのスピーカーシステムを設置するのは難しいが、メーカー各社のバーチャルサラウンド技術も進化しており、スピーカー本数が少ない環境でもある程度の臨場感向上効果は期待できるとしている。

NHKでは、放送以外での4K/8K映像の楽しみ方、活用方法についても研究を進めており、施設公開では気象情報の可視化や、アポロ計画で撮影された写真のアーカイブといった応用事例も紹介された。

これまで販売されてきた4Kテレビは、4K対応チューナーを搭載していないため、12月1日を迎えてもそのままでは4K放送を視聴することはできない。すでに4KテレビでBSデジタル放送を視聴している家庭では、この夏以降に発売される4Kテレビチューナーを接続することで、4K本放送のうちNHKと主要民放5局の受信が可能となる。WOWOWなどそれ以外のチャンネルを視聴したい場合は、パラボラアンテナを「左旋円偏波」に対応した製品に取り替える必要がある。8K放送を受信する場合には、8K対応のテレビ・チューナー、左旋円偏波対応のアンテナが必要となる。(BCN・日高 彰

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