この秋、サントリーホールで新たな室内楽フェスティバルが始まる。

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2011年から続く「ARK Hills Music Week」(昨年まで「アークヒルズ音楽週間」)は、サントリーホールのあるアークヒルズを中心に、周辺のホテルや美術館、大使館、教会、レストランなど、さまざまなスペースを会場にコンサートが開かれる「まちの音楽祭」。今年も10月5日(金)から13日(土)まで開催されるが、そこに、新たなコンテンツとして加わるのが、「サントリーホール ARKクラシックス」だ(サントリーホール、エイベックス・クラシックス・インターナショナル共催)。サントリーホール大ホールと同ブルーローズ(小ホール)を使って行なわれる室内楽フェスティバルで、10月5日(金)から8日(月・祝)の4日間に全9公演が予定されている。そして、このイベントのプロデューサー役に当たる「アーティスティック・リーダー」として、ヴァイオリンの三浦文彰とピアノの辻井伸行という、人気・実力ともに現代の日本を代表するふたりのアーティストがタッグを組むというから超強力。

5月14日に開かれた発表会見にも、ふたりが揃って出席して抱負を語った。
「室内楽のアンサンブルは音楽の原点。10年前ぐらいから、日本でももっと室内楽を広めていきたいと思い始めた。それがサントリーホールで実現できるのはうれしい。この東京のど真ん中で、室内楽を演奏して皆さんで盛り上がるのが楽しみ。ヨーロッパの仲間たちもすごく楽しみにしている」(三浦)
「昨年初めて三浦さんとフランクのヴァイオリン・ソナタを演奏して、それまであまり経験のなかった室内楽にはまっている。互いに音を聴き合い、音で対話しながら、それぞれがどう弾きたいかを考え、またぶつかり合って音楽を作っていくのが大事。そんな室内楽の魅力を伝えたい」(辻井)

初共演以来意気投合したふたり。プライベートでも食事をしたりカラオケに行ったりという間柄なのだそう。このふたりのカラオケは何を歌うんだろうという興味は措くとして、こちらが勝手に、あまり接点がないんじゃないかと思い込んでいたふたりが、互いの音楽を信じて真摯に向き合いながら本格的な室内楽の祭典を先導してゆくのは、なんともうれしく頼もしい。それぞれのファンも多いふたり。室内楽に新たなファンをいざなってくれるだろう。

参加アーティストは三浦、辻井以外に、ユーリ・バシュメット(指揮、ヴィオラ)&モスクワ・ソロイスツ、ヴィキングル・オラフソン(ピアノ)、川久保賜紀(ヴィオラ)、遠藤真理(チェロ)、三浦友理枝(ピアノ)ほか。全9公演は、休憩なし1時間と、休憩含めて2時間という2種類のプログラムで構成されている。

取材・文:宮本明