山崎貴監督

『寄生獣』の完成が待たれるヒットメーカー・山崎貴監督が、昨年12月に封切られ、興行収入87億円、観客動員700万人を突破する大ヒットを記録した『永遠の0』について振り返った。現在、同作のブルーレイ&DVDが発売中。映画は百田尚樹氏の同名小説を原作に、生きることに執着し続けながら、太平洋戦争で戦死した天才零戦パイロット・宮部久蔵(岡田准一)の生きざまと旅路を描いた。

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「これまでに比べると、ドライで突き放した演出をした作品。それだけに予想を超える(興行的な)結果が残せたことに驚きも感じています。個人としては、戦争を体験された方々に観てもらえる、最後のチャンスだから、今こそ作らなければという気持ちが一番大きかったです」。(山崎監督)

封切りからの週末2日間で6億円に迫る興行収入を記録し、「経験上、『このくらいかな』という数字は頭に浮かんでいたんですが、ここまで数字を伸ばすことができるとは」と今も驚きを隠せない様子。公開後に行われたヒット御礼舞台あいさつでは、主演の岡田が「V6を目指します」と自身のグループ名を引き合いに、さらなる飛翔に期待を寄せたが、実際には国内興行収入ランキングで8週連続首位の“V8”を達成した。

「ヒットの理由は…、作り手の僕にはわかりませんが、ひとつ言えるのは作品として運に恵まれたということ。ご覧になった皆さんがSNSなどを通して感動を伝えてくれたのも大きいし、戦争というものを考え直す機運も高まっていた。いろんな要素が複合的に重なったのかなとは思いますね」。(山崎監督)

現在発売中のブルーレイ&DVDには、最新のAR技術を用いて限定コンテンツが鑑賞できる特典が封入されている。専用アプリをダウンロードし、封入されたカードをスマートフォンやタブレットにかざすと、零戦・赤城がカメラに映った空間に飛行するシーンを見ることができる。山崎監督自身の発案だといい、自らクリエイティブディレクションを務める気合いの入れようで、「想像以上のものに仕上がった。無理を言って音も入れてもらい、サイズとクオリティの両面でこれまでにないARを体感してもらえるはず」と興奮しきりだ。

『永遠の0』
ブルーレイ&DVD 発売中
6500円(税別)
発売元・販売元:アミューズソフト

取材・文・写真:内田 涼