玉木宏と石原さとみ

映画『幕末高校生』で勝海舟を演じた玉木宏と、幕末へタイムスリップしてしまう女性教師を演じた石原さとみ。初共演を果たしたふたりが作品の魅力について語ってくれた。

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本作は、スマホのアプリでなぜか幕末にタイムスリップしてしまった教師・未香子とその生徒たちが、勝海舟と出会い、江戸城無血開城の実現に向け奔走するさまをコミカルに描き出す。

過去にも大河ドラマなどで多くの歴史上の人物を演じてきた玉木。本作はSF要素が入った時代劇であり、勝海舟も過去の作品とはひと味違う、優柔不断でどこか頼りない人物として描かれるが「演じる上で違和感はなかった」と振り返る。「確かにこれまで凛とした聡明なイメージが強かったですが、人として様々な側面があるのは当然。悩み、葛藤する姿により人間らしさを感じたし、愛着もわきました」。

「久しぶりの教師役ということで嬉しかった」と語る石原は「実は生徒役の子たちとそこまで年齢が離れているわけではないんですが」と笑いつつ「楽しめました」と語る。

未香子の“成長”がひとつの軸となるが「未香子と勝の葛藤や悩みは実はリンクしているんですよね」とは玉木の弁。その言葉に頷き、石原も未香子や勝の魅力をこう語る。「中途半端で、行動しているように見えて中身がない……そういう人って意外といるんじゃないかなと思います。でも、ちょっとした出会いやきっかけで人の意識は変わるし、世界も変わり、未来も変わっていくものなんです」。

それは、石原にとっても玉木にとっても己を顧みての“実感”であるという。玉木は言う。「人や仕事との出会いですね。僕自身、若い時は自分のことしか考えていなかったです。『有名になりたい』とか(笑)。でも作品はみんなで作るもの。それを意識するようになって変わりましたね。楽しくもなったし、楽にもなりました」。

石原は「『どう見られたいか? ではなく、どうありたいか?』。ある人にそう言われてハッとしました。5年前に言われても響かなかったかもしれないけど、そのタイミングでちょうどお休みももらって、そこで良い意味で『好きだからする』『楽しければいい』と考えられるようになりました」。

初共演を経て「今回はポップだったので、次は対極のことをしたい。泥臭い作品でご一緒したい」と玉木は再共演を希望。石原も「撮影の1か月半、すごく居心地がよかったので、連ドラの長い撮影でも楽しい時間が過ごせそうです」と“次”への期待を膨らませていた。

『幕末高校生』
公開中

取材・文・写真:黒豆直樹