絵本の中に出てくる子ども像にイラっとしたこと、ありませんか?

子どもって、本当はもっと汚いし、わがままだし、だらしないところもあるのに、絵本に描かれた子どもは軒並み聞き分けがよかったり、妙にいい子だったり。

思わず、「こんな子、いねーよ!」って言いたくなるのは筆者だけでしょうか…?

子どもがある程度大きくなるまでは、毎晩のように絵本を読む機会があると思います。どうせ読むのなら、ママにとってもおもしろい絵本を選ぶのはいかがでしょうか。

リアルな子どもが描かれたおすすめ絵本をご紹介します!

家出もの

少し大きくなった子どもにとって、家出というのは洋の東西を問わず魅力なのかもしれません。

今回ご紹介するのは、『ロッタちゃんのひっこし』(アストリッド・リンドグレーン作/偕成社)です。


日本の絵本にもいくつか家出ものはあるのですが、正直、リアルさに欠ける感じがして、物足りませんでした。

本作は、映画にもなっていますが、絵本の方が個人的にはおすすめです。なぜなら、絵本のロッタちゃんは必ずしもかわいく描かれていないからです。

へそを曲げてだらしない格好のまま泣いている姿、意地悪モードに入っていたずらをしているところなど、よくもここまで子どものリアルをとらえているなあ、と感心します。

口先だけではなく、本当に「ひっこし」してしまうロッタちゃん。子どもが本気になったら、ここまでやるんだぞ、ということを思い知らされます。絵本のなかの大人たちが、ロッタちゃんを一人前の人間として扱っているところも、見習いたいですね。

また、家出をするのではなく、いたずらが過ぎて自室に閉じ込められてしまうお話ですが、『かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック作/冨山房)も子どもの表情が最高です。

主人公は、ずっと自室におとなしく閉じ込められているわけではなく、冒険に出かけるのです。

「家出もの」としてご紹介した絵本は、どちらも5、6歳くらいから、親子で楽しめるのではないでしょうか。

けんかもの・友だちもの

大人のけんかは、権利主張のぶつかりあいといった意味合いが強いですが、子どもは言葉が足りない分、コミュニケーションをけんかですることがあります。

「けんかもの・友だちもの」でご紹介する1冊目は、『けんかのきもち』(柴田愛子 作・伊藤秀男 絵/ポプラ社)です。

まず表紙が強烈です。
けんかをしておそらく負けた男の子が、泣きたいのに泣けないような顔をして天井をにらんでいます。

作者の柴田愛子さんは、長年保育の現場で生の子どもを見てきた方です。そのため、子どもを見る目に甘さがないのでしょう。

けんかをして負けた子の気持ちの変化が、時間の経過とともに見事に描かれています。

けんかの理由って、あってないようなもの。この絵本に出てくる大人たちは、そのあたりがちゃんとわかっていて、理由を問い詰めたり、無理に仲直りさせたりするようなシーンは出てきません。