夏休みもの

夏休みといえば、海や山。

「夏休みもの」で、一冊目にご紹介するのは、『だいちゃんとうみ』(太田大八作・絵/福音館書店)です。

この絵本は、作者である太田大八さんが、自分にとって一番楽しかった頃の思い出を絵本にしようと思ったものなのだとか。

夏休みというかぎられた時間を、大自然のなかで満喫するという体験、これからの時代はますます難しくなるかもしれませんが、せめて絵本の中で体験させてあげてはいかがでしょうか。

それから、夏休みといえば、怖い話。

京極夏彦さんの妖怪えほんシリーズ『あずきとぎ』(京極夏彦 作・町田尚子 絵・東雅夫 編/岩崎書店)も、夏休みにおじいちゃんの家に遊びにきた男の子のお話です。

山や川がページいっぱいに広がる自然の描写が素晴らしいのですが、正直、ほんとに怖い絵本です。

理由や説明がつかないことって、世の中に実はたくさんありますが、それにしたって、この絵本のそぎ落とされ方は容赦ない。子どもに読み聞かせる前に、ママが一度読んでおいた方が無難かもしれません。

おそらくは都会っ子である主人公の表情のなさも、やけにリアルです。彼は、頭の良い子どもで、おじいちゃんの言うことを迷信だといって、川に入ろうとするのですが…続きは実際に読んで確かめてみてください!

大人向き絵本も

最後におまけとして、ビジュアルの美しい絵本もご紹介しておきます。

子どもと一緒にゲーム感覚で楽しめる絵本に、ウォーリーを探せシリーズがありますが、こちらは少し大人っぽいかもしれません。

安野光雅さんの『旅の絵本』シリーズ(福音館書店)は、文字がない分、すみずみまで細やかに描かれた絵が、雄弁に物語ってくる絵本です。見ているだけで楽しいし、毎回新たな発見があると思いますよ。

さて、お次のビジュアルでおすすめの絵本は、先ほど『だいちゃんとうみ』でご紹介した太田大八さんの『かさ』(文研出版)です。

こちらも、文字のない絵本です。

使われている色は黒と赤だけなゆえか、なんともスタイリッシュ。

それでいて、内容は、雨に降られて傘のないお父さんのために、女の子が駅まで傘をさして向かうという、今ではあまり見られないような情景が描かれたものなのですが、レトロなのにシックというギャップも、素敵。

まとめ

果てしないような子育ての日々ですが、気がついた時には、我が子に絵本を最後に読んだのはいつだっけ? となっているものです。

疲れていて、すぐ寝てしまいたい日もあるかもしれませんが、少しでも、夜の絵本タイムが楽しくなれば幸いです。