陳列の基本の「ゾーニング」を理解する

【家電コンサルのリテールマーケティング】 商品特性をとらえた売り場の陳列手法に「ゾーニング」という考え方がある。例えばテレビという商品を「どの位置に、どのくらいのスペースをとって、どのように配置するのか?」など、テーマや用途から考える陳列手法のことである。今回は、「ゾーニング」について取り上げる。

「ホリゾンタル陳列」のメリットとデメリット

ゾーニングの代表的な手法として、「ホリゾンタル陳列」と「バーティカル陳列」の2つがある。ホリゾンタル陳列では、グルーピングされた商品群を水平に並べる。例えばエアコンの場合、A社、B社、C社、D社の同じ定格能力(kW)の機種を水平に展示する。2.8kWの競合機種を横一列に並べ、その下に2.5kWの競合機種を横一列に並べるという手法だ。

顧客にとっては、2.5kWもしくは2.8kWを購入が目線の高さのゴールデンゾーン(GZ)に配置されているため、見やすく、メーカー間の比較がしやすくなるメリットがある。逆にデメリットは、2.2kWや4.0kWの購入を考えて来店した顧客は、非常に見にくく、比較しにくい展示となり、最悪の場合、売り逃す可能性も出てくる。

また、見やすいGZにあるはずの2.5kWや2.8kWでも、エアコンのように製品が横長だとメーカー間を比較するために、顧客は横移動を繰り返して比較しなければならない。顧客にストレスを与える展示になってしまうのだ。

「バーティカル陳列」のメリットとデメリット

一方の「バーティカル陳列」では、グルーピングされた商品群を垂直に並べる。エアコンの場合、A社、B社、C社、D社の2.8kWの同じ定格能力(kW)の機種を垂直に展示する。商品がメーカー別に縦にかたまって陳列されるため、顧客にとっては1か所で立ち止まって商品比較できるメリットがある。

デメリットとしては、視線がGZの位置に定まると、上下の商品が視野に入りにくくなるため、一番上と下に陳列したメーカーの商品は、販売が振るわなくなる可能性がある。

このように、どちらの陳列にもメリットとデメリットがあるが、家電量販店のように拡販指定機種が存在する業種では、カテゴリ特性に合わせて使い分けることが重要だ。例えばエアコンなら、「バーティカル陳列」が向いていて、拡販指定機種をGZに置くのが基本となる。実際の店舗でも、多くがこの展示を用いている。

ゾーニングが崩れていると、顧客は商品を発見しくいため、店長は経験則だけでなく、このような基本の陳列手法を部下に説明し、ポイントを押さえたうえで、担当者自身の個性を売り場で表現してもらうのがベストだと筆者は考える。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。

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